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2020年12月3日【企業・経営】

TDB調査、国内景気持ち直すも感染再拡大で下旬に鈍化

NEXT MOBILITY編集部

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帝国データバンクは12月3日、「TDB景気動向調査 -2020年11月調査結果-」を発表した。

 

 

■調査結果のポイント

 

・2020年11月の景気DIは6カ月連続で前月比プラス(1.6ポイント)の35.4

国内景気は、下旬にかけてやや鈍化したものの、緩やかな持ち直しが継続した。今後の景気は、足元の感染再拡大への対応にともなう下振れリスクを抱えながらも、緩やかに上向いていくと見込まれる。

 

・10業界中、9業界でプラス、『金融』の1業界がマイナス

10業界中、『サービス』『卸売』『製造』など9業界でプラス、『金融』の1業界がマイナスとなった。各種施策の効果もあり、観光関連の業種を中心に持ち直しの動きがみられた。

 

・10地域中9地域はプラスとなるも、『北海道』は悪化

『北陸』『東海』など10地域中9地域がプラス、『北海道』が悪化となった。域内主要産業の生産・出荷量が上向くなか、IT投資の活発化がみられた。一方、新型 コロナウイルスの感染再拡大の影響が『北海道』などでマイナス要因となった。「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも6カ月連続でプラスとなった。

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■2020年11月の動向:持ち直し

 

2020年11月の景気DIは6カ月連続で前月比プラス(1.6ポイント)の35.4となった。11月の国内景気は、株価が29年半ぶりの高値を更新したほか、各種施策による人の移動が活発化したことなどで観光関連を中心に持ち直しの動きが継続した。また、企業の設備稼働率や生産・出荷量が上向いてきたことなどもプラス要因となった。さらに、自宅内消費やIT投資などは引き続き活発だった。しかし、新型コロナウイルスの感染者数が再 び拡大してきたなかで、一部地域で各種施策の一時停止や自粛要請が出されるなど、景況感は下旬にかけて徐々に鈍化した。

 

国内景気は、下旬にかけてやや鈍化したものの、緩やかな持ち直しが継続した。

 

 

■今後の見通し:一時停滞するも緩やかな上向き

 

今後1年程度の国内景気は、新型コロナウイルスの感染拡大防止と経済活動再開のバランスが左右することになろう。年明け以降は足元の感染再拡大への対応による自粛要請の 強化で、経済活動が抑制される可能性がある。また、冬季賞与の減額や雇用環境の悪化などで消費者の節約志向が高まることも懸念材料である。他方、新しい生活様式に対応した 需要の創出が期待されるほか、5Gの本格的普及や訪日客受け入れ再開などはプラス要因となろう。また、ワクチン開発の進展も期待される。

 

今後の景気は、足元の感染再拡大への対応にともなう下振れリスクを抱えながらも、緩やかに上向いていくと見込まれる。

 

 

 

■業界別:9業界でプラス、観光関連の業種を中心に持ち直しの動きに

 

・10業界中、『サービス』『卸売』『製造』など 9 業界でプラス、『金融』の1業界がマイナスとなった。各種施策の効果もあり、観光関連の業種を中心に持ち直しの動きがみられた。

 

・『サービス』(36.8)
前月比1.7ポイント増。7カ月連続のプラス。各種施策の効果もあり、「旅館・ホテル」(同1.6ポイント増)は、販売単価DI、設備稼働率DIが前年に近い水準まで持ち直した。前月から大幅増となった「人材派遣・紹介」(同5.1ポイント増)は、主に派遣単価などを表す販売単価DIが2カ月連続で50を超え、生産・出荷量DIも大幅にプラスとなった。また、「娯楽サービス」(同5.3ポイント増)は、ゴルフ場や遊技場の景況感が大きく回復した。他方、「広告関連」(同1.2ポイント増)は、広告代理業やディスプレイ業で持ち直しの動きが弱い。「飲食店」(同2.8ポイント増)は持ち直しつつあるものの、設備稼働率DIは依然として低く、景況感も厳しい水準での推移となった。

 

・『卸売』(33.0)
同1.5ポイント増。6カ月連続でプラス。「再生資源卸売」(同5.8ポイント増)は、国内外の鉄スクラップ価格の上昇がプラス材料となり、販売単価DIは2018年10月以来2年1カ月ぶりに50を上回った。「化学品卸売」(同3.8ポイント増)は、マスクやアルコールなどの衛生用品の需要が引き続き堅調で、塗料やプラスチック関連でも大幅にプラスとなった。また、がん具・娯楽用品卸売では、企業から「鬼滅の刃の効果がみられる」といった声も聞かれた。他方、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(同0.3ポイント減)は、関連する川上・川下産業の製造・小売を含め厳しい水準での推移が続いている。

 

・『製造』(33.3)
同2.3ポイント増。6カ月連続でプラス。半導体製造装置や自動車関連で輸出の回復傾向が継続し、「鉄鋼・非鉄・鉱業」(同3.9ポイント増)や「機械製造」(同2.6ポイント増)、「輸送用機械・器具製造」(同1.4ポイント増)などを中心に持ち直しの動きとなった。また、これらの業種での持ち直しの影響が、段ボール箱製造などが含まれる「パルプ・紙・紙加工品製造」(同3.0ポイント増)や、工業用のプラスチック製品製造やゴム製品製造などが含まれる「化学品製造」(同3.3ポイント増)にも波及した。『製造』 は、全12業種で3カ月連続のプラスとなった。

 

・『農・林・水産』(38.7)
同4.3ポイント増。2カ月連続で大幅なプラスとなった。内食需要の高まりを背景に、鶏肉・豚肉価格が高値で推移している養鶏・養豚では、景況感が前年同月を上回った。また、観光関連の各種施策の効果による地場産業の押し上げが寄与し、農業・漁業関連の景況感にも持ち直しの動きがみられる。景気DIが前年の水準近くまで戻りつつあるなか、『農・林・水産』の雇用過不足DI(正社員)は3カ月連続で60を超え、再び人手不足感が高まっている。

 

 

 

■規模別:全規模が 6 カ月連続でプラス、設備稼働率も徐々に向上

 

・「大企業」「中小企業」「小規模企業」がいずれも6カ月連続でプラスとなった。各種施策の効果が表れていたなか、すべての規模の設備稼働率も徐々に上向いてきた。

 

・「大企業」(37.6)
前月比1.2ポイント増。6カ月連続でプラス。自宅内消費の拡大継続やリモートワークにともない住宅ニーズが高まるなか、畜産や不動産業の景況感が大幅に上向いた。また鉄鋼業などが堅調で、生産・出荷量DIが8カ月ぶりに40台へ復帰した。

 

・「中小企業」(34.9)
同1.6ポイント増。6カ月連続でプラス。半導体や5G需要などの好調で設備稼働率が高まるなか、機械製造の景況感が上向いた。また、「旅館・ホテル」が10カ月ぶりに30台へ復帰するなど、『サービス』の持ち直しがみられた。

 

・「小規模企業」(35.2)
同1.3ポイント増。6カ月連続でプラス。各種施策により旅行代理店や貨物運送などが堅調に推移した。また建設業のプラス傾向も継続。しかし、仕入単価の上昇傾向が継続する一方で販売単価は伸び悩むなど、収益環境は厳しい状況が続いた。

 

 

 

■地域別:10 地域中 9 地域でプラスとなるも、感染再拡大がマイナス要因に

 

・『北陸』『東海』など 10 地域中 9 地域がプラス、『北海道』が悪化となった。域内主要産業 の生産・出荷量が上向くなか、IT 投資の活発化がみられた。一方、新型コロナウイルスの 感染再拡大による影響が『北海道』などでマイナス要因となった。

 

・『北陸』(34.7)
前月比2.9ポイント増。7カ月連続でプラス。「福井」が過去最大の改善幅を更新した。IT投資の活発化で情報サービスが好調だったほか、アウトドア用品や自動車販売などが堅調に推移した。

 

・『東海』(35.6)
同3.0ポイント増。6カ月連続のプラス。「三重」が過去最大の改善幅となるなど、2011年7月以来9年4カ月ぶりの増加幅となった。自動車など域内製造業の生産が上向いたほか、建設業も堅調に推移し、物流業などへ波及した。

 

・『北海道』(34.4)
同1.6ポイント減。6カ月ぶりに悪化。新型コロナウイルスの感染再拡大がみられるなか、一部地域で経済活動を促す各種施策の一時停止や外出自粛要請などで人の移動や来店客数などに影響が表れたこともあり、10地域で唯一の悪化となった。

 

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。