帝国データバンク(TDB)は4月3日、「タクシー業」の倒産発生状況について調査・分析を行った。その調査に於いては、タクシー業の倒産増が増えており、その数が過去10年で最多の33件にのぼる。これに深刻な「ドライバー不足」と燃料高が追い打ちを掛け営業断念に至る事業者が増えているという。
なおコロナ禍の収まりで、他産業では需要回復の兆しが見えているなかでも、5割超が「業績悪化」から回復できておらず、日本国内独自の建て付けとなった「ライドシェア」解禁ではライバルが共存相手となっており、その動向は注視される状況下にある。
今回のTBD調査結果の条件・概要は以下の通り
集計期間:2024年3月31日まで
集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産
調査機関:株式会社帝国データバンク
※調査結果は右記同社サイトにも掲載される
TDBによると深刻な台数不足が指摘されるタクシー業界で、倒産件数が過去10年で最多を更新した。2023年度に発生したタクシー業の倒産は33件判明し、2年連続で前年度(28件)を上回ったほか、これまで最多だった11年度(36件)に迫る水準となった。
タクシー業界ではコロナ禍に発生した、利用客減少による売上高の急減から立ち直りつつある。但しプロパンガスなど燃料代の高騰が収益を圧迫し、経営環境は厳しさを増している。
2023年度に於けるタクシー業の倒産のうち、半数を「物価高」倒産が占めた他、23年度の業績が判明したタクシー業のうち半数超が、燃料高などを理由に赤字や減益など「業績悪化」に直面した。
こうしたなか、近時は需要増にも関わらず「ドライバー不足」で営業が困難になるタクシー会社の経営破綻が目立ち始めた。愛知県の「毎日タクシーグループ」(破産、24年1月)はコロナ禍での需要減に加え、ドライバーの高齢化や不足から運行に行き詰まり、事業継続を断念した。
足元では慢性的なタクシー不足に対し、代替交通手段として「配車アプリ」を活用したライドシェア制度が部分的に解禁された。タクシー業界にとっては「ライバルとなる競争相手」か「共存共栄のパートナーか」の見極めが急務になっている。「安心できる移動手段」としてのタクシー運行をどう存続させるのか、利用者・タクシー会社ともに再考すべき時期に差し掛かっているとTDBでは結んでいる。