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2023年6月30日【経済・社会】

T2と三菱地所、自動運転トラックの物流ネットワーク構築へ

坂上 賢治

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自動運転技術のT2三菱地所は6月30日、日本初の自動運転トラックに対応した物流ネットワーク構築に向け資本業務提携を行うことで合意した。

 

今後、T2の手掛けるレベル4自動運転トラックによる日本の幹線輸送と、その発着地点となる三菱地所が開発する次世代基幹物流施設を融合させ、シームレスな輸送を実現していく。なおT2は6月30日に三菱地所を引受先とするプレシリーズAラウンドの第三者割当増資12.5億円を実施した。

 

そもそもT2と三菱地所は、T2の会社設立当初から連携を進めていたため、生活・経済インフラを支えるトラックドライバーの不足などの社会課題への危機感。日本の経済成長と国民生活を持続的に支える強い物流の実現のビジョンを共有していることを双方で確認。資本業務提携に至った。

 

 

なお三菱地所は、京都府城陽市で次世代のモビリティを受入可能とする高速道路IC直結の「次世代基幹物流施設」の開発計画を進めており、同施設の敷地内にレベル4自動運転トラック発着拠点となるモビリティプールを設置する予定。

 

そこで今後、同機能をT2が活用する他、レベル4自動運転トラックが建物内まで運行できる基幹物流施設の整備や、レベル4自動運転トラックと基幹物流施設を組み合わせた新サービスなどの共同開発を進めていく構えだ。

 

これらの取り組みについてT2の下村正樹代表取締役CEOは、「三菱地所様との業務提携ならびに出資頂ける事を心から喜ばしく思うと共に、深く感謝申し上げます。今後も心強いご支援を賜りつつ、一層強固な事業基盤を整備していく所存です。

 

これまで通り荷物が運べなくなる状況が予見される中、弊社は日本の物流の未来を支えるというミッションを掲げ、レベル4自動運転技術を活用した自動運転トラックによる幹線輸送サービス事業を実現すべく邁進してまいります。

 

日本の幹線輸送の大動脈である関東・関西間を基軸としたレベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスを初期のターゲットとし、将来的にはエリアを順次拡大する予定です」と話している。

 

一方で三菱地所 コマーシャル不動産事業グループの小張貴史執行役員は、「レベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービス構築を先鋭的に取り組まれ、既に高速道路での実証実験に成功されているT2様との協業をさらに深め、また、出資の機会を頂いたことを大変喜ばしく思います。

 

T2様は日本の物流業界が抱える貨物輸送需要の増加や深刻なトラックドライバー不足等の喫緊の社会課題を輸送分野において解決できるプレーヤーであり、この度の提携により、荷主企業様、運送会社様、テナント様の便益を画期的に向上させることができると考えています。

 

当社は、次世代のモビリティを受入可能とする物流施設の必要性に長年着目し、昨年2月に公式発表した関西圏の受入拠点である京都府城陽市だけでなく、関東・中京圏においても同様の検討を進めておりますが、T2様との提携によってその必要性が徐々に具現化したことに更なる期待の念を抱いております。

 

また当社の基幹物流構想は国が目指すフィジカルインターネット社会の実現の一環であり、今後は三大都市圏だけでなく全国展開も視野に入れ、さらには次世代基幹物流施設を核としたアセット開発やその他不動産事業の展開も検討しています。

 

本提携により新たなレベル4自動運転トラックによる幹線輸送物流網が構築できる基盤を整備してまいります」と述べている。

 

資本業務提携の概要
締結日:2023年6月30日
内容:業務提携ならびに第三者割当増資の実施
目的:(1)レベル4自動運転トラックによる幹線輸送と発着地点である次世代基幹物流施設との融合によるシームレスな輸送の実現。(2)新たな資本受け入れによるT2の技術開発の更なる推進。(3)レベル4自動運転トラックが建物内まで運行できる環境整備、新たなサービスによる荷主企業様、運送会社様、テナント様の便益向上

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。