スズキの「ヨシムラSERT(スズキエンデュランスレーシングチーム) Motul」は、4月16日から17日に掛けてフランスのル・マンで開かれた二輪耐久ロードレースの最高峰「ル・マン24時間耐久レース」で2年連続優勝の栄冠を獲得。EWCの前季チャンピオンチームらしい勝利でシーズンをスタートさせた。
レースは安定した天候の中、スズキ&ヨシムラのグレッグ・ブラック、シルバン・ギントーリ、ザビエル・シメオン各選手は23回のピットストップを経て、24時間で周回数840ラップを走行。ゴールラインでは接戦を繰り広げた#7 YART – Yamaha Official Team EWCに1分45秒582差をつけての優勝となった。有観客レースとしては3年振りの開催となり、多くの観客が見守る中でファンを沸かせるレースとなった。
同レースは、国際モーターサイクリズム連盟(FIM)主催の「2022FIM世界耐久選手権(EWC)」の第1戦にあたる。EWCは、市販車をベースに耐久レース仕様に改造された二輪車で競われるレースであり、スズキは2021シーズンよりヨシムラジャパンにチーム運営を委託。GSX-R1000Rで共同参戦している。
当日は15時に伝統のル・マン式スタートでレース開始。スタートライダーとして定評のあるブラック選手は2番グリッドからライバルに先行する。
その後レース序盤は3番手以内を走行し、安定した速さでレースの3分の1にあたる8時間を過ぎた頃にトップへと浮上すると、素早いピットストップと入念なレースプランを確実に遂行しポジションを維持し続けた。
夜間走行となって以降も強力なライバルの猛追に対して常に一定のアドバンテージを確保。日本とフランスの合同チームであるヨシムラSERT Motulは、ディフェンディングチャンピオンらしい安定感でレースを引っ張り続けた。
夜が明けるタイミングではブラック選手が1分36秒195というラップレコードを記録。24時間のうちに8回ものセーフティーカー導入があるなど波乱もあったレース展開であったのだが、終始レースをコントロールし続け、9時間経過時点でトップに立ってからは一度もトップを譲ること無く840周でゴール。2年連続での開幕戦制覇を果たした。
この結果、優勝による40ポイントに加え、予選2番手の獲得とレース8時間・16時間経過時の順位で得られるボーナスポイントを獲得。ヨシムラ SERT Motulは合計63ポイントを稼いで次戦スパ・フランコルシャン24時間レース(ベルギー・6月4日~6月5日)に臨むことになる。
ヨシムラ SERT Motul ダミアン・ソルニエ チームマネージャー
「なんという週末! なんというレース! 自分たちだけではなく全てのチームのレベルの高さは感動的ですらありました。ヨシムラ SERT Motulはライダー3人のパフォーマンスの高さに加え、ここにいる陽平(加藤チームディレクター)と日本にいるヨシムラスタッフ、そしてル・マンを拠点とするSERTテクニカルチームとの総合力によりこの勝利を得ることができました。この格別に素晴らしいレースに関わった全てのメンバーに最高の結果をもたらしました!」
ヨシムラ SERT Motul 加藤 陽平 チームディレクター
「ヨシムラ SERT Motulは、スズキファクトリーチームとして2年目のシーズン開幕戦をこの様な勝利でスタートすることができました。そしてチーム全体のパフォーマンスを高い次元で維持することができ、大変満足しています。昨年の勝利と同じグレッグ、ザビエル、シルバンという素晴らしいトリオのライダーラインアップとチームスタッフが全力で戦い、再びル・マン24時間を制することができました。ここに至るまで日本でも昨年一年間を費やし、今シーズンに備えてきた甲斐がありました。この後に続くシリーズもヨシムラとスズキ、そしてフランスのSERTとの連携をより強化しながら戦っていきたいと思います。」
ヨシムラ SERT Motul グレッグ・ブラック 選手
「昨年同様にスタートライダーを期待されていましたが、3月末のテストで転倒し、踵(かかと)を骨折してしまい一抹の不安がありました。レースウイークまでには何とか回復し、今年もホールショットを奪うことができ、良いスタートが切れました。その後はゴールまでハイペースで、とても信じられないようなハードなレース展開となりました。ライバル勢は非常に強く、我々は全てのスティントを全力でプッシュし続ける必要がありましたが、チームメイトの2人も最高の走りをし、チームメカニックの完璧なサポートによりトップチェッカーを受けられました。今日の結果はチームのすばらしい働きによるものだと実感しています。」
ヨシムラ SERT Motul ザビエル・シメオン 選手
「チームのレース戦略が非常に優れていて、最小限のピットストップで最大限の走りをすることができました。コース上でのスズキGSX-R1000Rは驚異的なポテンシャルを見せ、各ライダー共に良いラップタイムを刻むことができただけでなく、グレッグはレースレコードまで記録しました。しかしライバル勢も最後の最後まで強く、チェッカーが振られるまで気が抜けないハードなレースでしたね。」
ヨシムラ SERT Motul シルバン・ギントーリ 選手
「今年のル・マン24時間は、とても難しいレースとなり、同じ勝利でも去年とは別格の内容になりました。ライバルのステップアップに対し、我々も速さ、戦略、チームワークが高いレベルで求められましたが、チーム全員が完璧にそれをこなしました。スズキGSX-R1000Rはライバルよりも燃費が良く、これも勝利の大切な要因でした。この週末はチームが一丸となって戦いました。このトロフィーを誇りに思います。」