スズキは8月31日、インド政府関係機関の“National Dairy Development Board(全国酪農開発機構/以下、NDDB)”と、インドのカーボンニュートラルの実現を後押しする「バイオガス実証事業」を実施することで合意、覚書を締結したことを発表した。
スズキとNDDBは、合弁会社の設立も視野に、将来のバイオガス事業化に向けた取り組みと、その普及可能性の実証を行う。
インドには牛が多く、その糞尿からCO2の28倍の温室効果を持つメタンが大気中に放出されている。スズキとNDDBは、このメタンの大気放出を抑制するため、牛の糞尿に含まれるメタンから自動車用燃料を精製することを検討する。
大気中のCO2は、光合成によって牧草に取り込まれて牛の餌となるが、排泄される糞尿からはメタンが放出される。両者は、その糞尿を回収し、バイオガスを人為的に発生させて自動車用燃料を精製して利用することで、メタンの大気中放出を抑制する。
なお、このバイオガス燃料は、大気中のCO2を原料とするカーボンニュートラル燃料であることに加え、その残渣を有機肥料としても利用できるため、インド政府の有機肥料促進政策にも貢献できる。両者は、この取り組みをインド全土に展開することで、メタンの大気放出抑制やカーボンニュートラル燃料の普及だけでなく、農村地域の活性化や新たな雇用の創出、廃棄物の資源化、エネルギー自給率の向上、循環型社会の形成などにも貢献できると考えていると云う。
スズキの鈴木社長は、このバイオガス実証事業について、「スズキは、インドでのカーボンネットゼロの実現を目指すと同時に、農村の活性化とエネルギー自給率の引き上げに貢献してまいります。」と述べている。