スズキは、走行するだけで水面付近のマイクロプラスチックの回収ができる、世界初(※)となる船外機に取り付け可能なマイクロプラスチック回収装置を開発した。
近年、正しく回収されずに海に流れ込む大量の海洋プラスチックごみが、大きな環境問題となっている。更に、それらが自然環境下で微細に破砕されたマイクロプラスチックが、生態系に及ぼす影響が懸念されている。
スズキは、こうした問題に対処するため、船外機がエンジン冷却のために大量の水をくみ上げながら走行し、冷却後にその水を戻す構造であることに着目。戻り水用ホースに簡単に取り付け可能で、船外機の走行性能には影響しない、フィルター式の回収装置を開発。国内で実施したモニタリング調査では、フィルターに溜まった回収物にマイクロプラスチックが含まれていることを確認した。
また現在、調査対象を海外にも広げ、装置の改良を進めており、来年からはオプション用品として設定。将来的には標準装備として取り扱うことも計画していると云う。
※2020年10月1日現在、スズキ調べ。
[スズキクリーンオーシャンプロジェクト]
スズキは、海洋プラスチックごみに焦点を当てた新たな取り組み「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」を始動。これまで継続してきた水辺の清掃活動が、今年10周年を迎えたことを機に、「私たちに今できること」「スズキの船外機にできること」は何かを考え、従来からの取り組みをさらに発展。このプロジェクトでは、回収装置の開発による船外機を利用したマイクロプラスチック回収の他、以下の取り組みを進める。
水辺の清掃活動で海洋プラスチックごみを回収
スズキグループでは、船外機が使用される海、河川、湖沼で、従業員とその家族によるボランティアの清掃活動を実施してきた。
活動は、2010年に浜松市で1回目を開始し、2回目以降は「クリーンアップ・ザ・ワールド・キャンペーン」として、世界各国で実施。スズキは、参加国26カ国、参加者延べ約8,000人以上に及ぶこの清掃活動を、今後も継続していく。
梱包資材からプラスチックを削減
スズキは、事業活動から生じるプラスチックごみを削減するため、船外機の製品梱包資材からのプラスチック削減に向けた取り組みを開始。今年6月生産の一部製品の梱包に代替材料を試験的に採用し、市場評価の確認を進めている。
また、スズキ船外機の純正部品についても、梱包資材に使われているポリエチレン製の袋やフィルム類の一部を紙製素材に置き換え、10月から順次出荷を開始する。これにより年間約2.3トンのプラスチックごみの削減を見込んでいる。
スズキは、SDGs(持続可能な開発目標)が示す社会課題の解決に向けた具体的な取り組みとして、「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」推進し、スズキ船外機がブランドスローガンに掲げる「THE ULTIMATE OUTBOARD MOTOR (究極の船外機)」を、環境面においても追求。
船外機ユーザーをはじめ、販売店、ボートビルダー、取引先、スズキグループ関係会社、従業員やその家族など、世界中の全てのパートナーと力を合わせて、世界中の海をきれいにしていきたいとしている。