研究が行われる研究室の様子
スズキは9月11日、国立大学法人静岡大学 とタンパク質のプラスチックへの吸着特性を活かしたマイクロプラスチックの判別技術に関する共同研究契約を締結したことを発表した。
スズキでは、「スズキクリーンオーシャンプロジェクト」の一環として、船外機に搭載可能なマイクロプラスチック回収装置(MPC)を開発し、これを一部機種に標準搭載して昨年7月より販売。またMPCで回収された物質を分析し、商品力向上に向けた開発も継続してきたという。
回収物には、マイクロプラスチックの他に砂や木くず、微小な海洋生物なども含まれるため、手作業と目視による分別には経験やスキルを必要とする。
また分析を国内外のモニタリングポイントではなく本社で行っているため、効率改善が課題になる。
そこで今回、微生物が持つ酵素やタンパク質を活用する研究に強みを持ち、その領域として、タンパク質の吸着特性についての知見がある静岡大学と共同研究を行うこととした。
この研究で使用されるタンパク質は、プラスチックに吸着し、着色させるという特性があり、それら組み合わせによって色にも違いが出せる。そこで同研究ではこれを活かして、回収したマイクロプラスチックにタンパク質を吸着させ、着色。
これにより、短時間で正確にプラスチックの特定や同種類の判別を可能にすると共に、AIによる画像認識技術を用いることで、国内外のモニタリングポイントからのデータの入手を容易に、タイムリーな開発に繋げていきたいとしている。
静岡大学との共同研究の開始にあたって、スズキのマリン事業本部 三嶋本部長は、「静岡大学様との共同研究を通じて、マイクロプラスチックの判別技術を取得し、海洋環境保護に対するお客様の関心と取り組みのサポートや、海洋環境の改善に貢献してまいります」とコメントしている。
なお、スズキには、MPC搭載の船外機を使用する人から、「自分で回収したマイクロプラスチックの量を簡単に把握したい」との要望が寄せられていることから、将来的には、この判別技術を実用化し、プラスチックの回収量や種類を画像認識で可視化し、海洋プラスチックごみ削減の取り組みがより身近に感じられるようにしていきたいとしている。