スズキと博報堂は、富山県朝日町と締結する「地域の移動課題解決に向けた連携に関する協定書」に基づき、地域住民の移動サポートに関するMaaS実証実験を開始する。
実証実験では、朝日町の住民の移動課題の解決のため、スズキの軽自動車および博報堂が開発中の自家用車を活用したMaaSシステムを使用して、国土交通省の「自家用有償旅客運送」制度に即した、自家用車を活用したMaaSソリューションを開発し、公共交通サービス「ノッカルあさひまち」の提供を目指す。
具体的には先ず、スズキの軽自動車を町の職員が運転し地域住民を送迎する形で「ノッカルあさひまち」のサービスを開始し、その後、自家用車を保有する地域住民からドライバーを募り、同じ町内の住民を送迎する形へと移行していく。
実証実験は、朝日町の交通事業者である黒東自動車商会およびスズキ自販富山、ヴァル研究所の協力のもと、8月から2021年3月まで実施予定。当初は無償で開始し、のちに有償サービスへの移行を計画している。
MaaS実証実験を通じて
朝日町では、高齢化に伴う運転免許返納者の増加などにより、住民の公共交通サービスへの需要が高まる中、これらに加え、将来にわたり持続可能な規模で行う住民同士の送迎という新たな移動手段を提供することで、地域コミュニティの再興も図る。また将来的には、地方への移住や多拠点居住への障害となりうる移動に関しての問題を解決し、関係人口の創出に繋がるような公共交通サービスを目指す。
スズキは、高齢者の運転免許返納の増加や、公共交通の衰退など、地方での移動課題に向き合い、持続可能な形での課題解決に関わることで、地域や産業の振興および、地方の住民との共存を図る。
博報堂は、朝日町が認定した町内各地域の自家用車ドライバーとユーザーをマッチングして送迎するMaaSシステムを開発することで、同社が日本版MaaSのあるべき姿のひとつとして考える、地域の移動課題解決に不可欠な、自治体と住民が協力して行う「地域交通全体の次世代化」を実現させていきたいとしている。
[ノッカルあさひまちサービス概要]
各地区と中心街を行き来するドライバーの車に、移動したい乗客が「乗っかる」仕組み。ドライバーは助け合いの精神のもと、自分の予定に合わせて、近所の利用者を自分の車に乗せて、目的地まで送迎。利用者は、ドライバーの予定を見て、事前に予約し、ドライバーの車で目的地まで移動する。
[各者の役割]
・朝日町:公共交通サービス「ノッカルあさひまち」の運行管理、ドライバー及び利用者の募集及び管理。
・スズキ:サービス設計、実証実験中の一部車両の貸与および維持管理
・博報堂:サービス設計、システム設計、デザイン制作。
■協力会社
・黒東自動車商会:公共交通サービス「ノッカルあさひまち」の運行管理。
・スズキ自販富山:実証実験中の一部車両の貸与および維持管理。
・ヴァル研究所:システム設計。