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2024年6月2日【イベント】

スーパーGT鈴鹿第3戦、両クラス共に初優勝の栄冠を獲得

坂上 賢治

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スーパーGT第3戦・鈴鹿ラウンド「SUZUKA GT 3Hours RACE( 2024 AUTOBACS SUPER GT )」の決勝レースが6月2日、三重県の鈴鹿サーキット( 1周5,807m / 観客動員数・決勝日25,000人 / 予選日17,500人 )で行われ、GT500クラスはポールポジションからスタートしたNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra( 笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組  )が初優勝。更にGT300クラスもNo.777 D’station Vantage GT3( 藤井誠暢 / チャーリー・ファグ 組 )がポール・トゥ・ウインを決めた。

 

 

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GT500予選セッション

決勝前日の6月1日の公式予選は、終始ドライコンディション下で消化。GT500クラスはNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra( 笹原 / アレジ 組 )がタイム合算3分31秒873でGT500最速となって初ポールを獲得。2番手はNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT( 大津弘樹 / 佐藤蓮 組 )。3番手はNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra( 大嶋和也 / 福住仁嶺 組 )となった。

 

 

GT500予選トップコメント

No.37 Deloitte TOM’S GR Supraの笹原 右京選手

チームに心から感謝したいです。( ホンダ系のMUGENから )TOM’Sに加入して以降、予選でも、いいところもあったし、去年、オートポリスでのQ1トップもありました。だけど、なかなかこう、思った以上のパフォーマンスが出せず、結果に繋がらない時期があったので、ちょっと苦しかったんです。

 

今回の予選に関しては、チームが凄くクルマを見直してくれて、クルマとタイヤを最適にセットしてくれたので、僕は、もういつも通りにクルマの100パーセントを引き出すのみだった。今回は、その成果が実際に表れてくれて、ホッとしていると同時に、今こうやって、(ポールポジションの)記者会見の場に出られていること自体がとても嬉しく思います。

 

 

No.37 Deloitte TOM’S GR Supraのジュリアーノ・アレジ選手

37号車で苦労した時期を、今になって振り返ると、本当にタフな1年半だったと思います。今回、チームや(笹原)右京さんが、凄く頑張ってくれました。Q1では笹原選手がプッシュして僕を助けてくれましたし、あまりプレッシャーなくQ2に進むことができました。僕のアタックですが、“スーパークリーン”なアタックではなかったのですが、自分なりにベストを尽くしたとは思います。

 

僕自身、今回はロングランが多かっただけに、このような結果を出すことができて、本当に感謝しています。チームが素晴らしいセットアップをしてくれましたし、(GR Supra GT500の開発部門である)TRDやブリヂストンタイヤにも感謝しています。

 

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GT300予選セッション

続くGT300クラスは、前戦後のチームランキングによりA/Bの2組に別けて行われ、Q1で先に走ったB組ではNo.777 D’station Vantage GT3( 藤井誠暢選手 )が、A組はNo.20 シェイドレーシング GR86 GT( 平中克幸選手 )がトップに。

 

Q2はQ1各組の上位8台・計16台がグループ1として、それ以外の車両がグループ2という2組で走り、No.777 D’station Vantage GT3のチャーリー・ファグ選手がQ2グループ1で2番手に。これとQ1との合算タイム結果で、同チームの藤井選手とファグ選手が初ポールポジションを決め、総監督の元メジャーリーガー・佐々木主浩氏にとっても嬉しい結果となった。

 

 

GT300予選トップコメント

No.777 D’station Vantage GT3の藤井誠暢選手

D’station Racingとしては久々のSUPER GT参戦で、その過去を含めて初めてのポールポジションなのでそれが嬉しいです。

 

好成績が得られた理由は、今年はクルマが新型のVantage(AMR GT3)になって足回りもエアロも変わってポテンシャルがかなり上がったことがひとつと、このシリーズはタイヤコンペティンションでもあるのでタイヤが重要なんですが、今回、ダンロップさんが持ってきてくれたタイヤのグリップが非常に高くて、不安なく高いレベルで走ることができたので、それが良いタイムに繫がったのかなと思います。

 

決勝の明日は天気も分からないので、今考えてもしょうがないですし、レースはなるようにしかならないと思いますけど、ドライバー、チームで力を合わせて、我々の持っているベストを尽くせるように頑張りたいと思います。

 

 

No.777 D’station Vantage GT3のチャーリー・ファグ選手

生まれて初めて鈴鹿サーキットを走ることになり、ずっと(走ることを)夢見ていた鈴鹿サーキットでポールポジションを獲得できたことを本当に嬉しく思っています。藤井(誠暢)選手のお陰だと思っています。

 

また、藤井選手も語っていた通り、ダンロップタイヤの素晴らしさや、チームにも感謝したいと思います。明日の決勝レースについては、僕はイギリス人なので、たとえ雨であっても得意だと思います(笑)。なので、ベストを尽くして頑張りたいと思います。

 

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GT500決勝

明けて同じく6月2日の鈴鹿で行われた決勝レース( 1周5,807m × 3時間 )では、ウォームアップ走行で雨が降ったもののすぐに回復して路面はドライに。決勝レース中も一時的に小雨が降ったものの、全車が終始ドライタイヤで戦い抜いた。

 

そんな雨上がりの天候下に於いて、GT500クラスはNo.37 Deloitte TOM’S GR Supra(笹原右京/ジュリアーノ・アレジ組)がホールショットを獲得して快走する。

 

 

2番手はNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT( 大津弘樹 / 佐藤蓮 組 )、その後続で予選3位のNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra( 大嶋和也 / 福住仁嶺 組 )が続く。

 

その後、14号車が勢いを保ったまま2位に浮上して首位の37号車を追い上げる展開に。しかし5周目以降に於いて、37号車はペースを上げて10周目には2秒強のリードを保つという展開に変わっていく。

 

 

その後も2台による一進一退の攻防が繰り広げられ、33周目に初給油とタイヤ交換のピットインを行なった際、14号車はドライバーを福住選手から大嶋選手へチェンジ。

 

しかし37号車は、そのまま笹原選手が2スティント目を走る作戦を敷いた。そして、これが影響したのか2度目のピット作業とドライバー交代の際、37号車は2番手を走るNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra( 大嶋和也 / 福住仁嶺 )に逆転される。

 

 

しかし14号車の方は終盤のピット作業からの再スタート時に、ピットロード上の優先権を持つNo.100 STANLEY CIVIC TYPE R-GT( 山本尚貴 / 牧野任祐 組 )とニアミス。この結果、ドライビングスルーペナルティになってしまい4番手に脱落する。

 

これによりNo.37 Deloitte TOM’S GR Supraが再びトップに立ち今季初優勝。笹原選手とアレジ選手に共に嬉しいSUPER GT初勝利を手中にした。2位は懸命に追い上げた14号車。3位はNo.16 ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT(大津弘樹 / 佐藤蓮 組)となった。

 

 

GT500の優勝コメント

No.37 Deloitte TOM’S GR Supraの笹原右京選手

(初優勝で涙ぐんでしまい)恥ずかしいですね。でも、これまでもポールポジションは獲っていますが、勝てない期間が長くて…、やっと…。実はセカンドスティント( レース中盤の走行 )にはちょっとトラブルもあって苦しかったのですが、なんとかトップを守りたくて。ジュリアーノ( アレジ )に繋げば何とかしてやってくれると期待していました。確かに14号車は速かったですが、僕らがミスなく戦った結果だと思うので、今日は素直に喜びます。

 

 

No.37 Deloitte TOM’S GR Supraのジュリアーノ・アレジ選手

(笹原)右京選手が良い位置で僕に繋いでくれて、アウトラップが重要だと思っていました。14号車がとても速かったのですが、彼らが残念なことにペナルティになってしまいましたね。僕らTOM’Sはこの2日間はミスなしで、クルマも速かったです。あとTOM’SファンとTOM’Sチームの皆、ありがとうございました! それと僕よりもっとパフォーマンスを見せてくれた、右京選手にもありがとう!

 

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GT300決勝

対してGT300クラスは、ポールポジションスタートのNo.777 D’station Vantage GT3の藤井誠暢選手が序盤からレースを大きくリード。これを追うNo.61 SUBARU BRZ R&D SPORT( 井口卓人 / 山内英輝組 )とNo.2 muta Racing GR86 GT( 堤優威 / 平良響組 )、No.6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI( 片山義章 / ロベルト・メリ・ムンタン 組 )を次第に引き離していく。

 

その後、2番手を争う61号車と2号車のバトルが白熱。15周目の日立Astemoシケインで2号車が2番手に浮上した。その後方では、5番手のNo.20 シェイドレーシング GR86 GT( 平中克幸 / 清水英志郎 組 )をNo.31 apr LC500h GT( 小高一斗 / 中村仁 / 根本悠生 組 )が攻略。更に6号車を抜いて、31号車は4番手まで浮上する。

 

 

開始から28周を終えて3番手の61号車がピットイン。翌周にはトップの777号車もピットに向かい、藤井選手からチャーリー・ファグに交代。2番手の2号車は32周を終えピットへ。平良選手から堤選手に交代してタイヤも交換。

 

対して、No.52 Green Brave GR Supra( 吉田広樹 / 野中誠太 組 )はドライバー交代を行なわず、今回もタイヤ無交換作戦を敢行。31号車もドライバーを代えずにタイヤ無交換でピット作業を終える。この段階で、フルワークのピット作業を行なった777号車は2番手に下がり、31号車がトップに浮上する。

 

しかしフレッシュなタイヤを履いた2番手の777号車と、4番手の61号車がタイヤ無交換の先行組を交わして上位集団に再浮上。トップを奪回した777号車のファグ選手は、61周を終えて2度目のピットに入る。

 

 

ファグ選手と交替して再びステアリングを握った藤井選手は、最終周に向けてトップをキープしたまま85周を逃げ切り走破しゴールラインを潜る。これで第3戦鈴鹿を、No.777 D’station Vantage GT3( 藤井誠暢 / チャーリー・ファグ 組)が見事なポール・トゥ・ウインを演じて完勝した。

 

D’station Racingとファグ選手にとってはSUPER GTでの初優勝となり、アストンマーティン車両のGT300優勝は2013年第7戦オートポリス以来の栄冠となった。また藤井選手にとっては、2016年第3戦以来の通算9勝目となった。

 

 

2位は開幕戦優勝のNo.2 muta Racing GR86 GT( 堤優威 / 平良響 組 )が2度目の表彰台に。3位はNo.6 UNI-ROBO BLUEGRASS FERRARI( 片山義章 / ロベルト・メリ・ムンタン 組 )が今季初表彰台に上った。

これでドライバーランキングでは2号車の堤/平良組が43ポイントと大きくリード。その後ろは今回ノーポイントだったNo.88 JLOC Lamborghini GT3の小暮卓史 / 元嶋佑弥 組 や、昨年王者の52号車・吉田 / 野中 組、今回優勝の777号車・藤井 / ファグ組などが僅差で続く状況となった。

 

 

GT300の優勝コメント

 

No.777 D’station Vantage GT3の藤井誠暢選手

今週はとにかくクルマも良かったですし、何よりダンロップさんのタイヤがとにかく良くて、予選でもそうですがレースも速さがあって摩耗も少なくて、非常に安定して良いペースで走ることができました。あと我々は久々にSUPER GTに復帰してきましたが、スタッフ全員ががんばって準備してきて、それが結び付いたと思います。関わってくれたすべての皆さんに感謝を伝えたいです。

 

 

No.777 D’station Vantage GT3のチャーリー・ファグ
(初優勝で)アリガトウ、スズカ!サンキュー! 本当に最高でした。今年、藤井選手が声を掛けてくれなかったらレースすらできず、僕はここにいませんでした。彼に感謝します。そしてチーム、ダンロップ、皆さんのお陰で素晴らしいレースができました。母国の家族にもありがとうと伝えたいです。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。