リチウム硫黄電池の構造
住友ゴム工業は4月1日、国立研究開発法人産業技術総合研究所を代表幹事にADEKAと共に次世代電池として期待されている硫黄系電池の事業創出を見据えた企業共創の場として「硫黄系電池事業創出研究会」を設立した。また設立時に幹事機関として地方独立行政法人大阪産業技術研究所も参画する。
住友ゴムでは、タイヤ製造に欠かせない硫黄に関する知見を活用してリチウム硫黄電池の重要部材である硫黄系正極活物質の技術開発を進めており、この新たな研究会を通して開発をさらに加速させていきたい考えだ。
住友ゴムが新世代蓄電池の主要素材として硫黄系正極活物質に着目した理由は、リチウム硫黄電池が、リチウムイオン電池と比較して高いエネルギー密度を持っいるため、バッテリー性能の向上と軽量化を図ることができることにある。
また構造上、発火可能性が低いのも特徴のひとつという。というのはコバルトなどのレアメタルを電池の材料として使用せず、日本にも豊富に存在する資源である硫黄を使用するため。加えてそうした理由から持続可能性の観点からも優れた特徴がある。
住友ゴムでは、「当社は高品質なタイヤの製造時の加硫技術(ゴムに硫黄を架橋剤として加え熱を加える工程。化学反応によりゴムの分子構造を変化させタイヤの強度や耐久性を高める事ができる)で蓄積した硫黄に関する優れた配合・加工・可視化技術を保有しています。
そこでこの度、国立研究開発法人産業技術総合研究所を代表幹事に、株式会社ADEKAと共に硫黄系電池の事業創出を見据えた企業共創の場として〝硫黄系電池事業創出研究会〟を設立しました。
また設立時に幹事機関として地方独立行政法人大阪産業技術研究所が参画し、4月11日には本研究会の設立大会※2の開催を予定しています。
今後、リチウム硫黄電池の重要部材である硫黄系正極活物質の技術開発と実用化に向けた取り組みをさらに加速させ蓄電池をはじめEV、ドローン、無人飛行機、空飛ぶクルマ、人工衛星などエネルギーやモビリティなどの幅広い分野における、製品性能、持続可能性の向上と環境負荷低減への貢献を目指します」と話している。