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2023年4月13日【エネルギー】

住友商事、水素活用で輸送&港湾現場の炭素削減へ

坂上 賢治

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長年、自動車や鉄道など輸送機器・製品を取り扱う住友商事の鋼材本部は4月13日、内燃機関の再定義を図るべく、ディーゼルエンジン搭載車両の短・中期的なCO2排出量削減・燃費改善策に取り組む事を明らかにした。

 

この目標達成にあたり同社は、シリコンバレーの水素オンデマンド技術スタートアップの「Hydrogen On Demand Technologies(ハイドロジェン・オンデマンド・テクノロジーズ)」が開発する製品「D-HAT(Diesel Hydrogen Assist Technology)」を活用する。

 

 

そもそも軽油を燃料とするディーゼルエンジンは、重量物の長距離輸送などトルク(固定されている回転軸を中心として生み出される力)が必要な荷役作業などで、今も活用されている。

 

その優位性は高く、現在の事業上に於いて欠かせない動力源であり、これを電動化や水素燃料電池の導入へと進めて行くには、まだまだ多くの時間を要する。

 

しかし未だ少なくとも国内運輸に於ける温室効果ガスの約4割を、ディーゼルエンジン駆動の貨物自動車と船舶が占めており、同パワーユニットのCO2排出量削減は社会制度上の運用で避けられない課題となっている。

 

湾荷役機器のディーゼルエンジンに取り付けられたD-HAT

 

そうしたなか住友商事は、水素を活用して燃焼効率を上げるD-HAT装置を、8リットル以上の大型ディーゼルエンジン向けに独占開発並びに販売を行っている。

 

D-HATは、水を電気分解することで毎分4リットルの水素を生成。これを高圧水素タンクで貯蔵する事なくディーゼルエンジンに送り込み、水素を介して燃焼効率を高められる。

 

これにより従来のディーゼルエンジンならではの性能は維持しつつ燃費を向上。軽油使用量とCO2を含む排気ガスの量では、それぞれ10パーセントから15パーセント削減させられるとした。

 

D-HAT内部の仕組みのイメージ図。電気分解によって生成された水素がディーゼルエンジンの燃焼を効率化する

 

またD-HAT装置自体は、水素ステーションや外部からの水素注入を必要とせず、ディーゼルエンジンに後付けが可能な点も大きな優位点だという。

 

ちなみに欧米地域ではD-HAT装置の搭載導入が進んでいる。対して日本では未だ数台に留まっている。

 

名古屋港飛島埠頭では飛島コンテナ埠頭、D-HAT輸入販売元のエントランスフォーメーション、名古屋港管理組合と連携中だ。

 

そこで住友商事は3月28日に、名古屋港飛島ふ頭で港湾でコンテナを輸送する港湾荷役機器へD-HATを据え付けて港湾荷役機器での本格実証を進める一方でに、無人搬送車への導入も視野に据えている。

 

なお今後は、名古屋港での実証実験を皮切りに日本全国の港湾各地でD-HAT装置の導入を進め、欧米地域に加えて日本国内でも課題解決に貢献していく構えだ。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。