住友商事と住友商事九州(以下2社総称して、住友商事グループ)、第一交通産業(以下、第一交通)、そして九州電力の4社は、1月18日、環境性と経済性を両立させた環境配慮型タクシー事業の実現に向け、電気自動車(EV)によるタクシー電動化プロジェクトを開始し、その第一弾として、福岡地区に於いてEVタクシーを共同導入すると発表した。
2050年までのカーボンニュートラル化を目標と掲げる日本政府は、昨年10月発表の地球温暖化対策計画の部門別目標で、運輸部門に於いて2030年までに7,800万トンの二酸化炭素排出量削減を設定(2013年度比35パーセント減)。目標達成に向け、タクシー業界にもEV導入が求められているが、現在主流のLPG車に比べ、航続可能距離の短さや、充電に伴うアイドルタイムの長さによる稼働率低下、充電ステーションの不足等の課題により、EVタクシーの普及は進んでいない状況にあると云う。
今回4社は、環境配慮型タクシー事業の実現に向け、EVによるタクシー電動化プロジェクトを開始し、その第一弾として、第一交通のアイランドシティ営業所(福岡市東区)にEVタクシーおよび充電器を導入。福岡地区での運行を通じて、走行距離などの経済性や充電時間、電池の状態などの性能面、環境負荷などを分析し、EVタクシーに最適な充電・運行マネジメントシステムを構築する。
また、将来的な再生可能エネルギーの導入や、削減した二酸化炭素のクレジット化にも取り組むことで、全国で持続可能な環境配慮型タクシー事業の実現を目指す。
来年3月までに全国で約100台のEVタクシーの導入を目指す第一交通は、この取組より得られるデータから、走行距離、充電時間、経済コスト、環境負荷などを総合的に分析。そのノウハウを基に充電・運行マネジメント上の課題を克服し、全国のタクシー営業所にEV車の導入を進めていく。
一方、住友商事グループは、これまでに手掛けてきた充電設備の運用事業や、バッテリーリサイクル事業などのEV関連事業で得た知見を生かし、最適な充電・運行オペレーションの構築や充電ステーションの配置最適化に取り組む。また、カーボンニュートラル社会の実現に向けて、充電ステーションへの再生可能エネルギー由来の電力の供給を検討する。
九州電力では、この取組で得られるデータから、EVタクシーの最適な充電・運行オペレーションの構築や、最適な電気の使い方や削減した二酸化炭素のクレジット化を検討。将来的には、得られた知見を基に様々なモビリティのEV化に取り組み、運輸部門に於ける電化の推進に挑戦することで脱炭素社会の実現に貢献していくとしている。
[使用EVのスペック等]
– 導入営業所:第一交通アイランドシティ営業所
– 電気タクシー導入状況:新規導入
– 製造メーカー 日産自動車
– 駆動用バッテリー:リチウムイオン電池(62kWh)
– 航続距離:458km (WLTC)
– CO2削減効果(既存LPG車両比):70%(想定値)
■住友商事:https://www.sumitomocorp.com/ja/jp