住友商事と総合車両製作所(J-TREC)は、フィリピン共和国運輸省(DOTr)から南北通勤鉄道事業フェーズ1(マニラ市ツツバン~ブラカン州マロロス区間)の車両納入パッケージCP03(南北通勤鉄道向け鉄道車両104両納入プロジェクト)を受注し、7月16日に契約調印した。
近年、経済成長率6~7パーセントで推移するフィリピンは、ASEAN諸国の中でも高い経済成長を誇っている。
人口は1億人を超え(世界第12位)、中でもマニラ首都圏の人口急増は著しく、人口集中による交通渋滞は深刻。人々の移動や貨物物流への影響など、交通渋滞による年間の社会的損失は、約2.4兆円とも云われている。
南北通勤鉄道向け鉄道車両104両納入プロジェクトは、国際協力機構とフィリピンとの有償資金協力に基づいて計画された日本国政府開発援助事業。
マニラ首都圏と周辺都市を南北に結ぶ「南北通勤鉄道計画」のうち、マニラ市ツツバンと北方のブラカン州マロロス区間(約38キロメートル)を走る鉄道車両104両(8両×13編成)を設計、製造し、DOTrに納入する。
契約金額は約250億円。2023年2月に全車両が引き渡される予定だ。
■路線図
住友商事では、これまでに国内外で積極的に鉄道関連ビジネスを展開し、東南アジア、米国、東アジアを中心に数多くの鉄道建設案件、車両輸出案件を手掛けてきた。同社は、その経験を生かし、同プロジェクトの着実かつスムーズな契約履行を推進する。
J-TRECは、ステンレス車両製造のパイオニアとして長年培ってきた技術・ノウハウを結集した次世代ステンレス車両ブランドの「sustina(※)」を提供する。
※「sustina」: 省エネルギー性、安全性、保守性を向上させた、J-TRECが設計・製造する次世代ステンレス車両のブランド名。
[プロジェクト概要]
<案件名>
フィリピン南北通勤鉄道事業フェーズ1 CP03 (マニラ市ツツバン~ブラカン州マロロス区間)
<顧客>
フィリピン共和国運輸省
<契約内容>
鉄道車両104両(8両×13編成)の設計、製造、試験、製品保証(Warranty対応)、予備品・特殊工具納品、運転シミュレーター納入、従業員トレーニング等
<全体工期>
42カ月