アライアンス ロゴマーク
住友ベークライト(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤原 一彦)は5月27日、「生物多様性のための30by30(サーティ・バイ・サーティ)アライアンス」に参画したことを発表した。( 坂上 賢治 )
この〝30by30アライアンス〟とは、生物絶滅による生物多様性の消失を防止するべく、2030年までに陸と海(地球の表面積)の30%の保全を目指す国際約束である「30by30(生物多様性条約の目標)」の達成に向け、オールジャパンで進める企業・自治体・団体の有志の連合を指す。
その上位にあたる国際的な30by30基準が示す具体的内容は、米国科学振興協会によって発行された科学メディアScience Advances(サイエンス・アドバンシス)の記事「自然のためのグローバルディール:指導原則、マイルストーン、および目標(2019年)」によって提案され、これが 今の国際的活動の切っ掛けとなった。
またこの30by30が掲げる目標は、2022年夏に開催予定の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)での採択が見込まれる2030年に向けた世界目標のひとつでもある。
ちなみに現在、世界では陸の17%、海の10%が保全されているとされているが、同保護区を各国に於ける国土面積30%まで拡大させると、維管束植物・脊椎動物種の相対絶滅リスクを7割減する効果が見込めるとしている。
翻って日本の国立公園や自然環境保全地域などの保護区は、国土面積の20%(国の保護区だけではなく企業が管理する緑地や漁業管理地域など民間と連携した自然環境保全地域も包括)で相対絶滅リスクを4割低減する効果がある。
それゆえに農林業者・市民・民間企業による身近な自然の保全活動を介して、日本国内の生物多様性を如何に未来へ引き継げるかが、日本にとって重要な鍵になっている。
そこで日本でも30by30の達成に向けて、環境省主導の下で2022年4月に30by30に係る活動が開始され、発起人17団体を筆頭に企業、自治体、NPO法人など計618団体、個人10者(2022年5月11日現在)が参画する「生物多様性のための30by30アライアンス 」が本格始動した。
より具体的には、国立公園等の保護地域の拡充に加え、保護地域以外の保全されてきたエリアをOECMとして認定する仕組みが始まる。この国際的なOECMの認定基準の基礎は、国際自然保護連合(IUCN)が定めているが、細かな基準は国毎に決められる。
各当該国内の企業は、自国のアライアンスに参加してOECM(Other Effective area based Conservation Measure/保護地域以外で生物多様性保全に資する地域・手段の頭文字)認定を受けることで、生物多様性の世界目標に貢献しているお墨付きを得られるメリットが生まれる。
日本国内の企業などがOECM認定を受けるには、環境省が2022年3月に発表した〝重要里地・里山や巨樹・御題林など公的に認められた生物多様性上重要な場所〟〝自然林や自然草原など原生的な生態系がある場所〟〝里地里小間など二次的な自然がある場所、
人工林・農地・溜池・谷津田などの湿地・鎮守の森など〟〝稀少な動植物が生息している場所〟〝食糧や資源提供・水資源・炭素固定・防災減災・景観などの生態系サービスを提供する場所〟などを含む9つに亘る基準の1つ以上を満たせばよい。
志がある企業は、基準の要件に従って文献や資料と共に申請書を提出し環境省から認定を得る。認定を受けたOECM地域は国際データベースに登録していく。更にこれをベースに環境省は、OECM認定地の自然の価値を温室効果ガスのクレジットに倣って切り出して売買できる仕組みづくりを設計・検討する。
これを前提に環境省は2022年度にOECM認定の仕組みを試す実証事業を行い2023年度から認定を開始。2023年中に100サイト以上の認定を目指す。またこれによってOECMに取り組む企業は持続可能であるという社会認識を育んでいく構えだ。
今回、30by30への参画を発表した住友ベークライトでは、静岡工場にあるビオトープ「憩いの杜」のOECM認定取得と30by30へ貢献していくと述べている。