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2025年2月21日【CASE】

ステランティス、未来を切り拓く独自の自動運転機能を発表

坂上 賢治

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ステランティスNVは2月20日(アムステルダム発)、ハンズフリーおよびアイズオフ(SAEレベル3)機能を提供する自社初の自動運転システム「STLA AutoDrive 1.0」を発表した。このSTLA AutoDriveは、 「STLA Brain(Electrical/Electronicアーキテクチャ)」および「STLA Smart Cockpit(車両向けアプリケーション)」と並んでステランティスの技術戦略の重要な柱であり、モビリティのインテリジェンス、自動化、ユーザーエクスペリエンスを進化させる存在となる。

 

STLA AutoDriveは、最高時速60 km (37mph) での自動運転を可能にし、渋滞時のドライバーの作業負荷を軽減し、貴重な時間を節約する。

 

特に人口密度の高い都市部での通勤に快適性を提供するSTLA AutoDriveにより、ドライバーは映画鑑賞、メールのチェック、読書、または単に窓の外を眺めるなど、運転以外の作業を一時的に行うことができ、それまで渋滞中に失われていた貴重な時間を取り戻すことができる。

 

このSTLA AutoDriveの提供にあたりステランティスの最高エンジニアリングおよびテクノロジー責任者を務めるネッド・キュリック氏は、「STLA AutoDriveは、ドライバーが移動時間を最大限に活用できるように支援することが最優先事項です。日常的な運転タスクを自動処理することで、STLA AutoDrive は運転体験を向上させ、運転時間をより効率的で楽しいものにします」と、その効果を端的に説明した。

 

なお、同システムはドライバーが使用する上でも、設計上に於けるプログラミングでもシンプルさが重視されており、同機能搭載車が走行中に交通状況と環境条件が一致すると判断した場合、ドライバーに STLA AutoDrive が利用可能であることが通知される。

 

それを認めたドライバーが物理ボタンを押して機能を起動させると、自動運転システムが運行制御を引き継ぎ、安全な距離を維持し、速度を調整し、交通の流れに基づいてステアリングとブレーキをシームレスに管理する。

 

以降STLA AutoDrive は、高度なセンサー類を介して周囲を継続的に監視し、夜間や小雨、道路の水しぶきなどの厳しい気象条件でも、高精度の認識と信頼性の高い動作を保証する。また一貫した自動運転のパフォーマンスを維持するために、自動のセンサークリーニングシステムによって重要なコンポーネントは常にクリーンな状態に保たれ、信頼性と機能性が最適化される仕組みだ。

 

こうした機能の信頼性について先のネッド・キュリック氏は、「ステランティスのエンジニアは、STLA AutoDrive を改良して、素早く自然に反応するようにしました。これにより、実際の状況でシステムがスムーズで予測可能で、人間のような感覚を実現しています。

 

安全な車間距離を維持する場合でも、合流する交通に適応する場合でも、システムはシームレスに動作し、自信を持ってストレスのない運転を実現します。

 

また高速走行時には、STLA AutoDriveはレベル 2 (ハンズオン) およびレベル 2+ (ハンズオフ、アイズオン) モードでアダプティブ クルーズ コントロールと車線中央維持機能を提供し、引き続き、特定条件下で一定の利便性を提供します。

 

スケーラブルなアーキテクチャ上に構築された STLA AutoDriveは、すぐに導入でき、ステランティス ブランドの車両全体にわたってグローバル市場に適応できるためスムーズな市場展開も保証されます。また、このシステムはクラウドに接続されているため、無線更新とリアルタイムのデータ統合による継続的な機能強化が可能になり、常にパフォーマンスが最適化されるという利点も享受できます」と語った。

 

なおSTLA AutoDriveは、サポート対象市場(地域)の適用法規に準拠している必要性があること。併せてドライバーは着席し、シートベルトを着用し、指示が​​あればすぐに運転できるように準備しておく必要がある。また、電話の使用制限など、ドライバーの行動に関する地域の法律について、機能を使用するドライバーは尊重しなければならない。

 

最後にSTLA AutoDriveは、「STLA Brain」および「STLA Smart Cockpit」を介して進化するプラットフォームとして設計されており、継続的な研究と将来の進歩により、最高時速95km (59 mph) までの高速域に於いてもハンズフリーおよびアイズオフ操作が可能になったり、一部のモデルでオフロードでの自動化が強化・実装されるなどの可能性が秘められているという。

 

 

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。