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2021年8月25日【トピックス】

緊急事態宣言、北海道ほか7県を追加

NEXT MOBILITY編集部

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菅内閣総理大臣は8月25日の記者会見で、北海道、宮城県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県に「緊急事態宣言」を発出し、また高知県、佐賀県、長崎県、宮崎県に「まん延防止等重点措置」を適用、期間をそれぞれ8月27日から9月12日までとすると発表した。

 

<其々の措置が実施される区域と期間>

 

■緊急事態宣言

 

・沖縄県:5月23日~9月12日
・東京都:7月12日~9月12日
・埼玉県、千葉県、神奈川県、大阪府:8月2日~9月12日
・茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、京都府、兵庫県、福岡県:8月20日~9月12日
・北海道、宮城県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県:8月27日~9月12日

 

■まん延防止等重点措置

・石川県:8月2日~9月12日
・福島県、熊本県:8月8日~9月12日
・富山県、山梨県、香川県、愛媛県、鹿児島県:8月20日~9月12日
・高知県、佐賀県、長崎県、宮崎県:8月27日~9月12日

 

 

首相官邸・ロゴ

今回の決定について菅総理は、全国的に新規感染者数が過去最大の水準で更新を続け、特に中部圏などで高い増加を示しており、保健所の体制や医療提供体制も厳しい状況が続いていること等を挙げ、8月17日の記者会見で語った「医療体制の構築」「感染防止」「ワクチン接種」という“3つの柱から成る対策”を徹底していく旨を改めて強調した。

 

また今週中に1兆4,000億円の予備費の使用を決定し、ワクチン接種の体制や、中和抗体薬の確保といった緊急の課題に対応。雇用調整助成金や緊急小口資金などを続けていくため、万全の予算措置を講じていくと述べた。

 

宣言の期限については、ワクチンの接種状況や重症者数、病床利用率等から判断。加えて、ワクチン接種証明書の活用により、飲食店の利用、旅行、イベントといった、日常生活や社会経済活動を今後回復させることについても言及した。

 

 

 

 

[3つの柱の内容]

 

<第1の柱>

 

①医療体制の確保

 

自宅療養者:最初に受診した診療所等で健康観察や相談・電話診療を行う体制を、地域の実情に応じて医師会の協力も得て速やかに構築。新型コロナに感染した妊婦に対応できる高度な医療体制についても、地域での確保を進め、緊急時でも迅速な搬送を行えるよう、病院、都道府県と消防機関の間で情報共有と連携を強化していく。

 

入院患者:感染症法に基づき、東京都と共同で、都内の医療機関に最大限の入院患者の受入れるよう要請。またそれぞれの都道府県に対し、最大限の病床を確保し、医療体制を速やかに強化するよう指示。国立病院機構において、新型コロナ対応の病床を東京全体で200床まで拡大した。また現在、全国14か所に設置されている酸素投与ができる一時的な療養施設を、緊急事態宣言地域を中心に更に増やしていく。

 

②重症化を防ぐための対応

 

50代以上や、基礎疾患のある人を対象に集中的に1,400の医療機関で1万人に投与された結果、重症化を防ぐ極めて高い効果が出ているとされている中和抗体薬について、これまで入院患者のみとしてきたが、外来でも使えるようにする。

 

増加する子供の感染に対しては、学校での感染拡大を防ぐため、チェックリストの周知を進め、発熱等の症状がある場合は登校しない等、基本的な感染対策を徹底。幼稚園、小中学校に約80万回分の検査キットを配布し、早期発見、対応に努める。さらに、自治体の大規模接種会場や大学の接種会場で行ってきた学校教職員への接種をさらに活用し、希望する教職員へのワクチン接種を行っていく。なお、国からの全国一斉の休校要請は考えてはいないが、学校で感染者が出た場合には、学校や自治体が濃厚接触者の特定・休校の判断を適切に行えるよう、速やかにガイドラインを示す。

 

<第2の柱>

 

感染防止対策

 

飲食店の時間短縮、大規模商業施設の入場整理を行うと共に、デルタ株に対して現場で感染対策が進められるよう、業種別ガイドラインを見直す。また、テレワークについても、昨年春に多くの企業が達成した出勤者7割削減に向け、取組を進めるよう要請。

 

飲食店に対する協力金については、先月導入した早期給付への申請に対し、首都圏では、ほぼ全てが既に支給済。今回追加された地域も含め、他の地域についても、都道府県と協力し、速やかな支給に努めていく。

 

<第3の柱>

 

ワクチン接種

 

現時点(8月24日現在)でのワクチン接種は、全国民の54%が少なくとも1回目を、また43%が2回目を完了し、総接種回数は1億2,000万回に達している。企業や大学における接種は、当初の2,400の会場に加え、今月から新たに140の会場で実施、来月半ばまでに、約1,500の会場で開始される。そうした中で、8月末には全国民の半数近くの方が2回の接種を行い、9月末には6割近くの方が接種を終え、現在のイギリスやアメリカ並みに近づく見通しとなった。

 

特に今回、目立って重症化の傾向が見られる50歳代については、これまでに約5割が1回の接種を行い、2回の接種を終えた人は3割となっているが、そうした人々を含め、着実に接種を進める。

 

 

 

 

[菅総理発言の冒頭(全文ママ)]

 

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、北海道、宮城県、岐阜県、愛知県、三重県、滋賀県、岡山県、広島県に緊急事態宣言を発出するとともに、高知県、佐賀県、長崎県、宮崎県にまん延防止等重点措置を適用し、期間は、それぞれ8月27日から9月12日までとすることを決定いたしました。
 新規感染者数は過去最大の水準を更新し続けています。特に中部圏などにおいて高い増加を示しています。全国的にほぼ全ての地域でこれまでに経験のない感染拡大が継続いたしております。保健所の体制や医療提供体制も厳しい状況が続いています。こうした中で、各地域の病床の状況などを踏まえ、対象を追加する判断をいたしました。

 

先週、私は、こうした地域において、医療体制の構築、感染防止、そしてワクチン接種という3つの柱から成る対策を徹底していくと申し上げました。国民の皆様の御協力を頂きながら、この危機を何としても乗り越えていく、そうした決意に変わりはありません。
 感染拡大が急速に広がる中で、多くの方々が不安な気持ちで過ごされていると思います。確実に医療を受けることができるよう、緊急的な医療対策を速やかに進めてまいります。国民の命と暮らしを守るため、必要なことを一つ一つやり遂げてまいります。

 

医療体制の確保ですが、まず第1に自宅療養者への対策です。自宅で療養されている方は、大変心細い気持ちで過ごされていると思います。患者さんが最初に受診した診療所などにおいても健康観察や相談、電話診療などを行っていただける体制を地域の実情に応じて、医師会の協力も得て、速やかに構築してまいります。
 先日、自宅療養中の妊婦さんが、受入病院の調整に困難をきたし、赤ちゃんを亡くされるという大変痛ましいことがありました。新型コロナに感染した妊婦に対応できる高度な医療体制についても、地域での確保を進め、緊急時でも迅速な搬送を行えるよう、病院、都道府県と消防機関の情報共有と連携の強化を徹底してまいります。

 

第2に病床の確保であります。一昨日、都内の医療機関に対して、最大限の入院患者の受入れなどについて、感染症法に基づく要請を国と東京都で共同で行いました。また、今回の緊急事態宣言の発出に当たり、国からそれぞれの都道府県に対し、最大限の病床を確保し、医療体制を速やかに強化するよう、お願いいたしました。
 国としても、自治体の医療強化の取組には、全面的な支援を行ってまいります。そして、国立病院機構においては、新型コロナ対応の病床を東京全体で200床まで拡大し、全国の新型コロナ対策センターとしての役割を果たしてまいります。
 今回の感染拡大に際し、いわゆる野戦病院をつくるべきだ、こうした多くの指摘を頂いております。病院の空きベッドや、それ以外の施設も活用し、酸素の投与を可能とする緊急の施設は、これまでに全国14か所に設けられてきました。こうした一時的な療養施設を緊急事態宣言地域を中心に更に増やしてまいります。

 

第3に新薬による重症化防止です。新たに中和抗体薬は既に1,400の医療機関で1万人に投与され、重症化を防ぐ、極めて高い効果が出ているとの声が現場から寄せられております。これまでその対象は入院患者のみとされてきましたが、入院せずとも使うことができるよう、外来で使うことも可能とします。必要な数量はしっかりと確保しております。今後とも50代以上の方や、基礎疾患のある方を対象として集中的に使用し、重症化を防いでまいります。
残念ながら、子供たちの感染も増えています。9月の新学期を控え、できる限り教育の機会が損なわれることのないよう、子供たちの対策を進めていきます。
 まず、学校での感染が大きく広がることのないよう、チェックリストの周知を進め、発熱等の症状がある場合は登校しないことなど、基本的な感染対策を徹底してまいります。
次に、幼稚園、小中学校に約80万回分の検査キットを配布し、早期の発見、対応に努めてまいります。
 さらに、教職員のワクチン接種を進めていきます。これまでも自治体の大規模接種会場や、700を超える大学の接種会場では、学校教職員の接種が行われておりますが、そうした機会をさらに活用し、希望する教職員へのワクチン接種を行ってまいります。
その上で、国から全国一斉の休校を要請することは考えておりませんが、学校で感染者が出た場合には、学校や自治体が濃厚接触者の特定や、休校の判断を適切に行えるよう、速やかにガイドラインを示してまいります。

 繰り返しになりますが、マスク、手洗い、3密の回避という基本的な予防策を徹底し、特に会話をするときのマスク着用を改めてお願いいたします。

 

飲食店の時間短縮、大規模商業施設の入場整理を行います。感染力の強いデルタ株に対処し、現場で分かりやすい感染対策を進めることができるように、百貨店など多くの利用者と接する職場を中心に、業種別ガイドラインを見直していきます。
 テレワークについても、それぞれの職場で更なる工夫を重ねて、昨年春に多くの企業が達成した出勤者7割削減に向け、取組を進めていただきたいと思います。そして、お一人お一人がリスクの高い場所、リスクの高い行動を避けていただくようにお願いいたします。

 

ワクチン接種は8月の間も1日100万回以上のペースで進み、昨日まで全国民の54パーセントの方が少なくとも1回の接種を行い、43パーセントの方が2回の接種を完了し、総接種回数は1億2,000万回に達しております。企業や大学における接種は、当初の2,400の会場に加え、今月から新たに140の会場で行われ、来月半ばまでには、約1,500の会場で開始されます。そうした中で、8月末には全国民の半数近くの方が2回の接種を行い、9月末には6割近くの方が接種を終え、現在のイギリスやアメリカ並みに近づく見通しであります。
 特に今回、目立って重症化の傾向が見られる50歳代については、これまでに約5割の方が1回の接種を行い、2回の接種を終えた方は3割となっていますが、そうした方々を含め、着実に接種を進めてまいります。

 

今週中に1兆4,000億円の予備費の使用を決定します。ワクチン接種の体制や、中和抗体薬の確保といった緊急の課題に対応し、雇用調整助成金や緊急小口資金などを続けていくため、万全の予算措置を講じていきます。

 飲食店に対する協力金については、先月導入した早期給付への申請に対し、首都圏では、ほぼ全てが既に支給されております。今回追加された地域も含め、他の地域についても、都道府県と協力し、速やかな支給に努めてまいります。

 

緊迫した状況が続くアフガニスタンについてであります。昨晩もG7首脳テレビ会議に出席し、今後の対応や連携の在り方について、率直な議論を行いました。まずは在留邦人と大使館の現地職員などの安全な出国を最優先とし、既に現地に派遣した自衛隊機を活用しながら、しっかり対応してまいります。その上で、アフガニスタンが再びテロの温床になることを食い止め、現地で続く人道上の危機を回避し、女性などの権利を守っていくために、G7を含む関係国と緊密に連携してまいります。地政学上も要衝に位置するアフガニスタンの安定と復興は、我が国の国益にも深く関わっています。現地情勢とそれを取り巻く動向を見極めつつ、戦略的に取り組んでまいります。

 

感染力の強いデルタ株のまん延によって、感染者を押さえ込むことはこれまで以上に容易ではなくなっています。しかしながら、現在進めているワクチンの接種がデルタ株に対しても明らかな効果があり、新たな治療薬で広く重症化を防ぐことも可能です。明かりははっきりと見え始めています。

 

9月12日の宣言の期限については、ワクチンの接種状況、重症者の数や病床利用率などを分析し、判断を行ってまいります。その先にはワクチン接種証明書の積極的な活用の方法を含め、飲食店の利用、旅行、イベントなど、日常生活や社会経済活動の回復もしっかり検討いたします。全力でこの危機を乗り越えてまいります。国民の皆さんの御理解と御協力をお願い申し上げます。

 

 

■(首相官邸)新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見(8月25日/動画有):https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/statement/2021/0825kaiken2.html
■(首相官邸)新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~:https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html

■(内閣官房新型インフルエンザ等対策室)新型インフルエンザ等対策:http://www.cas.go.jp/jp/influenza/index.html

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。