トヨタ自動車と中部電力は、電動車の駆動用電池(電池)をリユースした大容量蓄電池システム(蓄電池システム)の構築、および使用済み電池のリサイクルについて実証を開始することとし、1月31日、基本合意書を締結した。
中部電力は、再生可能エネルギーの大量導入に対して、需給バランスの変動に的確に対応するとともに、電力系統の更なる合理的運用に向けた取り組みを推進している。
一方、トヨタは、2017年12月に「電動車普及に向けたチャレンジ」を公表するなど、電動車の積極的な普及を進めるとともに、電池の有効活用など、電動車の普及を支える社会基盤の整備にも取り組んでいる。
今回の基本合意は、トヨタの電動車から回収した電池を、中部電力が蓄電池システムとしてリユースし、電力系統における様々な課題に応じて活用していくことを目指す。
両社は、単体として性能が低下した電池であっても、多数の電池を組み合わせることにより、再生可能エネルギー導入の拡大に伴う需給調整への活用や、周波数変動および配電系統の電圧変動への対応などが可能になると考えていると云う。
また、こうした電力系統の課題解決に加え、火力発電所の合理的な運用も期待できるとしている。
[蓄電池システムによる電力系統における課題解決例(イメージ)]
①需給調整への活用
②周波数変動への対応
③配電系統における電圧変動への対応
両社は、2018年度には蓄電池システムの実証を開始し、その結果を踏まえて、2020年度には発電出力約1万kW・電池1万台相当分の導入を目指していくとしている。
リユースする電池は、現在ハイブリッド車(HV)を中心に大量に使用されているニッケル水素電池に加え、2030年度頃の蓄電池システムでは、今後普及が見込まれる電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)で使用されるリチウムイオン電池も活用する予定だ。
また、リサイクルに関し、使用済みの電池については、レアメタルなどの材料を回収し、再資源化して活用することで、電池をリサイクルできる仕組みを確立することを検討していくとしている。
両社は、電池のリユース・リサイクルの事業化をはじめとする取り組みなどにより、資源循環型社会および低炭素社会の両立の実現を目指し、地域の更なる発展に貢献してゆくとコメントしている。