ソニーは、各事業の進化をリードし、ポートフォリオの多様性を更なる強みとしていくため、グループの経営機構の改革を実施する。経営機構改革の主な内容は、以下の通り。
1.グループ本社の発足
来年4月1日付で、現在のソニーの商号を変更し、「ソニーグループ(英文表記:Sony Group Corporation)」を発足する。
現在のソニーは、グループ本社機能とエレクトロニクス事業の本社間接機能を有しているが、これらの機能を分離・再定義し、ソニーグループを、グループ本社機能に特化した会社とする。
ソニーグループでは主に、①事業ポートフォリオ管理とそれに基づくキャピタルアロケーション、②グループシナジーと事業インキュベーションによる価値創出、③イノベーションの基盤である人材と技術への投資、を長期視点でのグループ全体の価値向上の観点から行うこととし、来年の4月に向けて、詳細な機能・組織・人員の設計を行っていく。
なお、ソニーから「ソニーグループ」への商号変更は、株主総会での承認取得が条件となるため、6月26日に開催予定の株主総会の決議案件として付議する。
2. エレクトロニクス事業による商号「ソニー」の継承
ソニーグループ発足に伴い、来年4月1日付でソニーの商号は、祖業であるエレクトロニクス事業を行うソニーエレクトロニクスが継承する。
エレクトロニクス事業については、今年4月1日に同事業を束ねる中間持株会社として設立した「ソニーエレクトロニクス」が、傘下の事業会社・プラットフォーム組織との更なる一体運営を進め、組織・人材・事業ポートフォリオの最適化と一層の競争力強化、及び新規事業を推進する。
エレクトロニクス事業においては、今後も、音・映像・通信の技術に関する商品・サービスを展開するとともに、遠隔で人と人、人とモノをつなぐリモートソリューションやメディカル事業など、新しい領域にも長期視点で挑戦し、事業の成長と進化に取り組む。
3. 金融事業の完全子会社化
金融事業のさらなる成長とガバナンス強化を通じて、ソニーグループ全体の企業価値向上を図ることを目的に、約65%の株式を保有している金融持株会社であるソニーフィナンシャルホールディングスの完全子会社化に向けて、同社株券等に対する公開買付けを実施する。
金融事業は、エレクトロニクス、エンタテインメントと並ぶコア事業として長期的な成長戦略の一翼を担う事業であることから、成長に向けた資金調達の柔軟性などの観点から子会社上場を維持してきたが、今回、上場子会社という一定の制約のもとに独自の資金調達手段を保持させるよりも、迅速かつ柔軟な経営判断を優先し、個々の事業に即した戦略の実施やグループシナジーの追求にさらに取り組むべきと考え、今回の完全子会社化に向けて公開買付けを実施することを決定した。
ソニーは、ソニーフィナンシャルホールディングスの新しい経営体制と連携し、中核事業である生命保険事業のライフプランナーの価値向上に向けた施策などを実施するとともに、ソニーのテクノロジーの活用などさらなるシナジーの実現を目指す。
4.役員体制の変更
今回の機構改革に併せ、役員体制についても新しいグループ経営に適した構成に変更する。
ソニーグループの主要事業のうち、ゲーム&ネットワークサービス、音楽、映画、金融については、既に各事業会社において、それぞれの事業運営に適した役員体制を有しているが、今後、イメージング&センシング・ソリューション事業を含むエレクトロニクスにおいても、同事業に適した役員体制を構築する。
現在、ソニーグループの主要事業において重要な役割を担うソニー役員は、来年4月を目途にそれぞれの事業会社の役員として位置づけ、各事業の価値創造を引き続き推進。一方で、ソニーグループの役員は、グループ本社の主要機能の責任者と主要事業会社の最高経営責任者で構成し、グループの成長と進化に最適な経営方針を迅速に策定・実行する体制とする。