新事業会社「みんなのタクシー」を発足で、日本交通系の配車アプリ「全国タクシー」に挑む
ソニーおよびソニーペイメントは9月3日、都内大手のタクシー事業者である国際自動車(km)、大和自動車交通や準大手のグリーンキャブ、有力無線グループのチェッカーキャブ、さらに寿自動車の参画をえて、AI技術を活用した配車サービスや決済代行サービスなどを提供する事業会社「みんなのタクシー」を発足させたと発表した。
2018年度中でのサービス提供を目指す。5社の保有するタクシー車両数は1万台を超え、先行する日本交通系の配車アプリ「全国タクシー」(運営会社・JapanTaxi)と、都内市場で2分する規模を確保することになる。
みんなのタクシーは今年5月に準備会社として設立され、このほど事業本格化に向けて事業会社に移行した。準備段階では、準大手の日の丸自動車や東都自動車の参加が期待されたが、最終的には見送られ、5社連合となった。資本金は6億円で、出資比率はタクシー5社が55%を占め、ソニーおよびソニーペイメントが45%とした。
社長にはソニー側から西浦賢治氏、常勤取締役にグリーンキャブの高野康央氏が就任した。また非常勤取締役にはソニーから玉井久視氏、大和自動車から小山哲男氏、国際自動車から田中慎次氏が就き、非常勤監査役にはチェッカーキャブの秋山利裕氏が就いた。
タクシー5社を代表して、チェッカーキャブの安田敏明社長は「大きな変革期を迎えるタクシー業界において、みんなのタクシーはさまざまな規模のタクシー事業者の視点を取り入れながら、誰もが参画可能なプラットフォームを創出し、お客様・タクシー事業者にとってより良いサービスを拡充していくことを期待しています」とコメントした。
ソニーの吉田恵一郎代表執行役社長兼CEOも「AIやイメージング、センシング技術を活用したモビリティ領域は今後の成長領域の一つと捉え注力しています。みんなのタクシーが次世代の移動体験の提供から将来の都市交通の最適化まで、社会インフラの革新に寄与することを期待しています」とコメントを寄せた。
みんなのタクシーの西浦社長は、「AI・ITなどの技術を活用して、高付加価値、高品質なサービスの提供するオープンなプラットフォームを構築します。東京だけでなく、全国のタクシー事業者に利用されるサービスメニューを拡充し、最良なパートナーになれるよう努力していく」ことを明らかにした。
新会社は、タクシー需給予測サービスなども開発し、フルパッケージでのサービス提供から個別サービスの提供まで柔軟に対応し、事業者間の連携強化にも寄与していく方針だ。
現在、わが国でのタクシー配車アプリサービスは、昨年夏から横浜地区で展開するディー・エヌ・エー(DeNA)の東京市場への参入、また中国の滴滴中心(ディーディーチューシン)に出資したソフトバンクの新たな展開が注目されている。
先行する「全国タクシー」アプリは文字通り、全国ベースで6万台の参加をえて、独走状態。もっとも個人タクシー車両を含めた全タクシー車両数(22万4000台)でみれば27%のシェアで、後発組の追い上げる余地があるといえる。( 間宮 潔 )