近年、自動車の運転を取り巻く社会環境は大きく変化してきた
AI教習所 と損害保険ジャパンは6月10日、高齢ドライバーが自身の運転技能を自己チェックできる「運転の人間ドック実現」に取り組むことを明らかにした。ちなみにAI教習所とは、より安全な交通社会の実現を目指して南福岡自動車学校を運営するミナミホールディングスとティアフォーとで設立した合弁会社。
またティアフォー( TIER Ⅳ )は、自動運転を民主化を目指して世界規模でオープンソースの自動運転ソフトウェアである「Autoware( Autowareは、The Autoware Foundationの登録商標 )」を開発・提供する自動運転ベンチャーだ。
さて近年、〝高齢ドライバーやペーパードライバーの増加〟、〝物流・運送業界でのドライバー不足〟、〝運転免許返上に伴う移動弱者の増加〟、自動車の運転そのものに興味を示さない〝若年層のライフスタイルの変化〟など、自動車の運転を取り巻く社会環境は大きく変化してきた。
両社は、こうした新たな交通問題に真正面から対応するべく、まずは正しい運転評価に基づく運転技能の自己チェックを自ら検証できる新しいソリューションの開発に取り組むべく、両社で共同研究に係る契約を締結した。
昨今は、高齢ドライバーの交通事故について、2022年5月の道路交通法改正を経て、新たな運転技能検査が導入されるなど法令対応は着実に進められてきたいる。しかし、それでも現段階では事故を未然に防ぐための具体的な取組みについて不十分な状況に映る。
最も大切なのは、自身の運転状態を客観的に把握することにある
またそもそも、ここ数年に亘って批判の槍玉に挙がっている高齢ドライバーだけに限らず、本来は、広く交通事故へと繫がる発生要因を撲滅するためには、個々の運転者自身が自らの運転に係る認知機能や運転技能の状態を、客感的に把握することが重要だ。
ドライバーの誰もが、自身の運転の仕方についての長所や短所を正確に把握し、それに則した機能維持や技術向上のトレーニングを行うことは、例え若年ドライバーであっても、また高齢ドライバーであったとしても、今後も、できるだけ長く安全運転を続けるという意味で、最も重要なことであるといえるだろう。
そこで、AI教習所の「自動運転およびAI技術」と、損保ジャパンの「テレマティクス技術」など、両社が持つデータやノウハウを共有することで、個々のドライバーの安全運転を続けて行くこと支援。
そのための精度の高い運転診断と、それを知った〝気づき〟の上で、行動変容へ繋がる効果的なトレーニング手法やカリキュラムを開発することに取り組むべく、両社による共同研究契約を締結。具体的には以下の研究活動を介して、〝安全運転〟に係る課題の抽出と、その解決策の提案を目指していくとした。
上記を踏まえた、より具体的な研究内容と目的は以下の通り
複合視点による運転評価に基づき、高齢者を含む個人や、物流・運送業界等の法人ドライバーの運転寿命延伸や安心・安全な運転ができる環境を構築することを目指す、「運転の人間ドック」構想の実現に向けた実証実験計画の策定・実行を共同で行う。
また、エコシステムの一環として、医療などの関係者が連携し、運転者の健康状態や運転能力を総合的に評価し、適切なサポートやトレーニングを提供することで、安全運転の継続を促す環境形成を目指す。
目的達成を目指すための両社の役割は以下の通り
■AI教習所
・AI 教習システムを活用した、運転技能に関わる各種データの収集・提供および運転トレーニング手法の開発。
・全国の教習所との連携による、車両および実証実験場の提供。
両社は今後、パートナーとしての連携を深め、様々なセンシング技術を活用して収集したデータを複合的に検証し、ドライバーの属性に応じた課題解決に取り組んでいく。
また、蓄積されたリアルデータを利活用することで、個々のドライバーに合わせた、より精度の高い運転評価方法の開発と、その評価に基づいた効率的でパーソナライズ化されたトレーニングを提供し、安全運転の継続を促すエコシステムを形成していきたいとしている。
■損保ジャパン
・テレマティクス技術を活用したドライブレコーダー等の安全運転支援サービスを通じた、運転挙動に関わる各種データの収集・提供。
・グループ連携や幅広い業種との接点を活用した、さまざまな属性の実証実験参加者の募集・提供。