撮影=中島みなみ
「携帯電話を使用しながらの運転は重大な事故につながるたいへん危険な行為。そのことに対して警察は積極的な指導・取締りを行っている。道交法改正試案では罰則の強化を盛り込んでいる」
山本順三国家公安委員長は21日の閣議後会見で、2019年の道路交通法改正試案に盛り込まれた運転中の携帯電話使用対策について、先のように話した。
改正試案の大きなポイントは、自動運転の実用化に対応する初めての規程を盛り込んだことだが、携帯電話の使用等でも変更が予定されている。自動運転中の携帯電話の使用禁止を除外する反面、人が判断した現状の運転では、携帯電話使用中の運転に対して大幅な罰則強化を打ち出した。
運転中の携帯電話使用で危険性を生じさせた場合(携帯電話使用等・交通の危険)は、1年以下の懲役または罰金30万円になる。通話や画面操作を行うだけ(携帯電話使用等・保持)でも、6か月以下の懲役または10万円以下の罰金だ。現行では(交通の危険)は懲役3か月または罰金5万円、(保持)では懲役はなく、5万円以下の罰金だった。
また、これまでは(交通の危険)と(保持)の両方に反則金制度があったが、前者は非反則行為になり、罰金以上のペナルティに変わる予定だ。また(保持)の場合の反則金限度額が引き上げられ、大型自動車では1万円から5万円、普通自動車8000円から4万円になる。
改正案が成立後に、政令で実際の反則金を決めるが、予定では大型自動車2万5000円、普通自動車1万8000円、自動二輪車1万5000円になる予定。
さらに、携帯電話を使用しながら人身事故を起こした場合は、免許効力の仮停止の対象になる予定だ。免許停止などの行政処分は、通常は違反行為が確定した後に執行されるが、免許仮停止は事故を起こしたその場で免許証の提出求められて、30日間の免許停止となる。
「クルマを運転する事例が増え、その結果としての事故も増えている。携帯電話を使いながら運転することの撲滅に全力をあげていきたい」(山本氏)
警察庁は21日、試案概要をホームページで公表。12月25日~1月23日まで30日間、パブリックコメントを求める。その後、改正案がまとめられ、2019年の通常国会に提出される。( 中島みなみ・中島南事務所/東京 文京)