シンガポールのヘルスケア技術企業メディウェーブ社は(12月17日・シンガポール発)、シンガポールの国家病院前救急救急車サービス「1990 Suwa Seriya」と提携し、人工知能(AI)を組み合わせて人の生命を守る救急医療を行っていると発表した。
そのために同社は人工知能(AI)を統合させた緊急対応スイート「Mediwave Emergency Response Suite」をシステム構築。同技術を活用したコネクテッド救急車をリリースした。
この緊急対応スイートは、人の生死を左右する限られた時間内に於いて、Microsoft HoloLens(マイクロソフト・ホロレンズ)を利用することで緊急医療に於ける重要プロセスをデジタル化。医療行為に係る手順の効率性を高め、限られた時間内でも専門的なケア手順をリモートで示唆するもの。
より具体的には、最新のインターネット(IoMT)環境を介した拡張現実(AR)機能を活用。救急車で現場に急行する救急医療技術者 (EMT) は、緊急指揮制御センター (ECCC) の医師とリモートで接続。双方でバイタル サインを監視しつつ、的確な医療情報や手順を共有していく。
このシステムによって救急車が、病院に到着する前に専門的な事前ケアを完了させ、緊急医療が求められる時間帯に於いても高度な医療品質を維持する。
既にシンガポールの緊急医療サービスは、緊急対応に係る医療行為に要する処置時間で1分38秒という対応能力を誇っているが、新たな救急技術を学んだ先鋭隊員はARシミュレーションを使用した訓練を背景に、その技術に磨きを掛けた。
また同システムは、緊急医療行為の言語による情報も音声からテキストへトランスクライバー(AI筆記)を使用して電子患者治療記録 (ePCR) 化し、救急治療室での遅延を排除。不要な人的ミスを最小限に抑え込むという。
このMediwave Emergency Response Suiteについてメディウェーブ社のスレン・ピントCEOは、「私たちは、スリランカの唯一の病院前救急車サービス〝1990 Suwa Seriya〟に技術提供していることを心から誇りに思っています。
我々のAi技術と、優れた医療技術持つベテラン隊員とのコラボレーションにより、緊急医療サービスの効率性を向上させたことは、この種の医療緊急対応システムとしては初の試みとなります」と述べた。
またスリランカのコロンボで行われた同協業結果の報告イベントで、保健大臣を務めるラメシュ・パティラナ博士は、「現在、〝990 Suwa Seriya〟で322台の救急車を運行していますが、この新たな取り組みは緊急医療に於けるパラダイムシフトを示すものとなりました。
それは緊急対応システムの先例となるもので、これからの世界でAIと複合現実が果たす変革の可能性を示しています。今後は、メディウェーブ社のテクノロジーを活用することで同サービス網を拡大させ、より広域に緊急医療を提供できるよう取り組んでいきます」と語っている。