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2017年12月7日【エネルギー】

昭和シェル、食糧由来ではないバイオマス液体燃料の独自製造を目指す

坂上 賢治

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開発したPt-Ir-ReOx/SiO2触媒は、原料のソルビトールから直接水素を取り出しての利用も可能だと云う。

 

同社は、反応に用いる水素に於いて、ソルビトール由来の水素を一部使用して、天然ガスなどの化石燃料から製造されるGHG排出量の多い水素の使用量を減らす事で、従来の石油由来のガソリンに対してGHG削減効果が50%以上のバイオ燃料を生み出す研究開発に取り組んでいる。

また現段階の研究成果では、ラボレベルでの実験でセルロース(0.5g)を原料に、Ir-ReOx/SiO2触媒にてヘキサノールの生成(収率60%・※1)に成功している。

 

(※1)Liu, S.; Okuyama, Y.; Tamura, M.; Nakagawa, Y.; Imai, A.; Tomishige, K., Production of Renewable Hexanols from Mechanocatalytically Depolymerized Cellulose by using Ir-ReOx/SiO2 Catalyst, ChemSusChem, 2015, 8 (4), 628-635; DOI:10.1002/cssc.201403010.

 

加えて、H-ZSM-5触媒を用いてヘキサノール(ルロースから生成したヘキサノールの3つの異性体の存在比で調整したモデル化合物を使用)の脱水反応によるヘキセンの生成(収率79.8%・※2)にも成功した。

 

(※2)Okuyama, Y.; Koike, M.; Sasaki, S.; Liu, S.; Tamura, M.; Nakagawa, Y.; Imai, A.; Tomishige, K., Production of Cellulose-derived Olefins and Applicability to Gasoline, J. Jpn. Petrol. Inst., 2016, 59 (5), 228-234, DOI: http://doi.org/10.1627/jpi.59.228.

 

ヘキセンは、そもそも石油由来のガソリン中に存在する成分であり、今回生成したヘキセンに関して昭和シェル石油では、夏季及び冬季の代表的なガソリンへの混合可能量をJIS規格に照らして調査し、夏季及び冬季でそれぞれ、約22vol%及び約7vol%が混合可能である事を確認していると云う。

日本ではバイオエタノールのガソリンへの混合率は、JIS規格で3vol%が上限(E10対応ガソリン車は10vol%)となっているため、バイオエタノールに比べ、より多くガソリンに混合できるという利点があるとする。

 

今後について昭和シェル石油では、現在ラボレベルにて本触媒変換技術のプロセスを開発中だ。今後は段階的なスケールアップを経て、2025年までに技術を確立する事により、持続可能な社会の実現を目指すと結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。