開発したPt-Ir-ReOx/SiO2触媒は、原料のソルビトールから直接水素を取り出しての利用も可能だと云う。
同社は、反応に用いる水素に於いて、ソルビトール由来の水素を一部使用して、天然ガスなどの化石燃料から製造されるGHG排出量の多い水素の使用量を減らす事で、従来の石油由来のガソリンに対してGHG削減効果が50%以上のバイオ燃料を生み出す研究開発に取り組んでいる。
また現段階の研究成果では、ラボレベルでの実験でセルロース(0.5g)を原料に、Ir-ReOx/SiO2触媒にてヘキサノールの生成(収率60%・※1)に成功している。
(※1)Liu, S.; Okuyama, Y.; Tamura, M.; Nakagawa, Y.; Imai, A.; Tomishige, K., Production of Renewable Hexanols from Mechanocatalytically Depolymerized Cellulose by using Ir-ReOx/SiO2 Catalyst, ChemSusChem, 2015, 8 (4), 628-635; DOI:10.1002/cssc.201403010.
加えて、H-ZSM-5触媒を用いてヘキサノール(ルロースから生成したヘキサノールの3つの異性体の存在比で調整したモデル化合物を使用)の脱水反応によるヘキセンの生成(収率79.8%・※2)にも成功した。
(※2)Okuyama, Y.; Koike, M.; Sasaki, S.; Liu, S.; Tamura, M.; Nakagawa, Y.; Imai, A.; Tomishige, K., Production of Cellulose-derived Olefins and Applicability to Gasoline, J. Jpn. Petrol. Inst., 2016, 59 (5), 228-234, DOI: http://doi.org/10.1627/jpi.59.228.
ヘキセンは、そもそも石油由来のガソリン中に存在する成分であり、今回生成したヘキセンに関して昭和シェル石油では、夏季及び冬季の代表的なガソリンへの混合可能量をJIS規格に照らして調査し、夏季及び冬季でそれぞれ、約22vol%及び約7vol%が混合可能である事を確認していると云う。
日本ではバイオエタノールのガソリンへの混合率は、JIS規格で3vol%が上限(E10対応ガソリン車は10vol%)となっているため、バイオエタノールに比べ、より多くガソリンに混合できるという利点があるとする。
今後について昭和シェル石油では、現在ラボレベルにて本触媒変換技術のプロセスを開発中だ。今後は段階的なスケールアップを経て、2025年までに技術を確立する事により、持続可能な社会の実現を目指すと結んでいる。