米国でシェルのエネルギー事業を行うEquilon Enterprises社(シェル)と、トヨタ自動車の北米事業を統括するToyota Motor North America(TMNA)は、世界最大級の貨物輸送拠点である米国カリフォルニア州ロングビーチ港で、二酸化炭素を排出しない燃料電池(Fuel Cell :FC)トラックの普及を目指し、商用トラック用の大型水素ステーションの建設に向けて協力する。
この取り組みは、同州のカリフォルニアエネルギー委員会(CEC : California Energy Commission)が、港湾・倉庫・配送拠点での水素・充電インフラの整備を支援する「Alternative and Renewable Fuel and Vehicle Technology Program」で、800万米ドルの補助金交付の候補に選出された。
正式に承認された場合、シェルは、同港湾におけるトヨタの物流拠点に、商用トラック用の大型水素ステーションを建設し、シェルのステーションとして運営。
昨年10月から同港湾エリアで実証実験中のトヨタのFC大型商用トラックなどが、燃料充填に利用する。
またトヨタは、FuelCell Energy社とともに建設する発電施設「Tri-Gen」で、バイオマスから製造した水素をステーションに供給する。
シェルの水素担当ゼネラルマネジャーであるオリバー・ビショップ氏(Oliver Bishop)は、次のように述べている。
「本取り組みは、カリフォルニア州において、貨物輸送分野での水素利用の拡大に貢献するものです。シェルとトヨタは、特に代替燃料の普及が進んでいない大型商用車部門において、水素がCO2フリーの貨物輸送の実現に寄与すると確信しており、同州の商用車に対して有効な代替燃料を供給すべく、互いの知見を合わせて協力していきます」。
また、TMNAの先進技術車担当のクレイグ・スコット氏(Craig Scott)は、次のように述べている。
「CECには、ロングビーチ港とロサンゼルス港における今回の取り組みの重要性をご理解いただき、感謝申し上げます。トヨタは引き続き、貨物輸送車の電動化に向けて、FC技術が最も革新的で持続可能な技術のひとつであることを検証していきます。また、今回のシェルとの協力は、発展性がある輸送用エネルギーとして水素利用を推進していく両社の考えをさらに強化するものであると同時に、カリフォルニア州北部における一般車用水素ステーション網拡充の取り組みを補完するものです」。
トヨタとシェルは、ともに、2017年1月に発足したHydrogen Council(水素協議会)のメンバーで、昨年9月には、Hondaとともにカリフォルニア州北部における水素ステーション7か所の新設を発表するなど、米国を中心に、水素インフラの構築で連携を進めてきた。
トヨタは、今後も、政府やエネルギー業界とともに、水素社会の実現に向けて取り組んでいくとしている。