シャープは、メルセデス・ベンツなどを傘下に持つドイツの「ダイムラー社(Daimler AG)」に対して、差止および損害賠償を求め提起していた特許侵害訴訟(※)に関し、ドイツのミュンヘン地方裁判所から勝訴の判決文(判決日:9月10日付)を受領した。
ミュンヘン地方裁判所は、LTE規格技術を搭載した自動車に関し、ダイムラーはシャープの特許権を侵害していると判断。また、規格特許に基づくシャープの権利行使がFRAND宣言(※)に反する、とのダイムラーの抗弁(FRAND defense)を退け、差止を認めた。
判決では、損害賠償責任に関する確認と共に、ダイムラーに侵害行為についての説明義務も課している。なお差止は、シャープの保証金の支払いにより、仮執行される。
一方、ダイムラーは、今回の裁判に用いられた特許権の無効を訴える訴訟を、ミュンヘンのドイツ連邦特許裁判所に提起している。
シャープは、通信技術の分野において、世界50か国以上で合計6,000件以上の通信規格特許を保有し、これを重要な経営資源と位置付けていることから、今後も知的財産権が侵害されていると判断した場合、常に厳正に対処していくとしている。
※1:事件番号 7 O 8818/19、特許番号 EP 2 667 676
※2:保有する規格特許を、「公正、合理的かつ非差別的(Fair, Reasonable and Non-Discriminatory)」な条件でライセンス許諾する用意がある旨の宣言。