シェアリングエコノミー協会は、情報通信総合研究所(ICR)と共同で、日本のシェアリングサービスに関する市場調査を実施し(*1)、その結果を、4月9日に公表した。
調査では、18年度のシェアリングエコノミー経済規模が過去最高(*2)となる1兆8,874億円超となり、30年度には約6倍の11兆1,275億円になると予測。
さらに、シェアリングエコノミーサービス提供者(シェアワーカー(*3))は、「シェアリングサービスによって生活が充実するようになった」との回答が約3割高く、幸福度が向上する結果となった。
【1】市場規模の推計結果
・18年度 市場規模は過去最高の1兆8,874億円 を記録。
・30年度ベースシナリオ(現状のペースで成長した場合):5兆7,589億円。
・30年度課題解決シナリオ(後述の成長の課題が解決した場合):11兆1,275億円。
・成長の課題点としては、シェアリングエコノミーの認知度、法制度の整備、トラブル等の安全面における不安等が挙げられた。
<市場の定義>
対象とするサービスはインターネット上で資産やスキルの提供者と利用者を結びつけるもの、利用したいときにすぐ取引が成立するものとし、市場規模は資産・サービス提供者と利用者の間の取引金額と定義(プラットフォーマーの売上ではない)。
<課題解決シナリオの考え方>
シェアリングエコノミーの成長には認知度が低い点や個人が提供するサービス利用への不安等の課題が存在する。 そこで、サービス提供側・利用側双方について、以下、成長の課題が解決する状況を想定した場合の市場規模を算出した。
【2】既存産業への経済波及効果
・既存産業への経済波及効果は18年度で1兆4,000億円、30年で8兆円を予測。
・製造業、不動産、サービス業に大きく影響。
シェアリングエコノミーサービスを通じて個人が得た収入から製造業やサービス業等の既存産業へ及ぼす経済波及効果(各産業の生産額の増加額)は18年度で1兆4,120億円、30年度課題解決シナリオでは8兆1,381億円。シェアリングエコノミー協会では、シェアリングエコノミーの成長が、既存産業へかなりの好影響を与えると分析している。
※産業連関分析の手法を用いて算出
【3】幸福度・社会とつながり等への関係
シェアリングエコノミー利用者とそうでない人を比べると、全ての項目でシェアリングエコノミー利用者の方がつながりや幸福度を感じる割合が高いことが確認された。
【シェアリングサービスを使用する理由】
シェアサービスを利用する理由として、ほとんどのサービスにおいて「他では利用できないサービスが利用できる」という理由の回答割合が高くなった。
また、回答者のうち企業が提供する類似サービス(民泊の場合はホテルや民宿、対面型のスキルシェアであれば家事代行サービス等)に比べて高価格でも利用するかを尋ねたところ、モノのシェア(売買)以外は半数以上が高価格でも利用すると回答した。
調査では、低価格だからサービスを利用するのではなく、むしろ高くても利用するという人も多いとの結果が出ている。
さらに、サービス提供者がサービスを使用する理由として「生活の充実」を回答した割合が最も高い結果となった。
*1:全国の20-60代の男女(プレ調査29,629人、本調査2,509人)を対象にアンケートを実施
*2:情報通信総合研究所 2016年度 市場規模と比較(2017年6月28日公表)
*3)シェアワーカー:プラットフォームを通じて収入を得る個人
■シェアリングエコノミー協会:https://sharing-economy.jp/ja/
■情報通信総合研究所:https://www.icr.co.jp/