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2025年3月14日【ESG】

積水樹脂、太地町の自動運転車による安全運行事業に参画

坂上 賢治

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積水樹脂( 本社:大阪市北区、代表取締役社長 兼 CEO 馬場浩志 )は3月14日、和歌山県太地町が行う地元高齢者向けの移動支援事業( 自動運転車による運行実証 )に参画した。

 

これは、国土交通省 近畿地方整備局 紀南河川国道事務所の発注により、実証運行全体を統括(企画提案・各種調査・検証)するオリエンタルコンサルタンツ( 本社:東京都渋谷区、代表取締役社長 野崎 秀則 )による実施・運行に際し、自社のITS技術( Intelligent Transport Systems/高度道路交通システム )を活用した車両接近表示板を提供したもの。

 

 

具体的には、自動運転車両の接近を同社のLED表示板( 製品名:オプトマーカーⅤ )を介して歩行者に注意喚起を促すものであり、このLED表示板を用いた取り組みは2月14日より3月13日までの1か月間に亘って、まずは実証実験として実施された。

 

さて今回、実証事業の舞台となった太地町は高齢者人口が45%を超え、町内には家屋の密集地帯が点在していることからバスやタクシーが通れない細い路地が多数点在している。そうしたことから足腰が弱い高齢者は、通りのバス停までの道のりが遠く、気軽に外出し辛い環境下にあった。

 

そんな経緯から既存の「町営じゅんかんバス(2022年11月に導入)」では運行できないエリアを中心に新たな小型車両による運行を追加。これは漁協スーパー/老人憩いの家/病院等を周回する1周3.2キロメートルのルートを2台体制(1日18便/一循環あたりの所要時間約45分)で運行する。

 

グリーンスローモビリティ「AR-07」。

 

運行に供された車両は、主にゴルフ場内で散見できるランドカースタイルの車両。このクルマが道路に埋められた電磁誘導線に沿って低速で走行する自動運転仕立てのグリーンスローモビリティとなっている。当地では、この自動運転車によるサービス運行が外出機会や買い物等の機会を創出。地域満足度の向上と共に太地町に住み続けることへの安心感に繫がっている。

 

そうしたことから更に地域住民の好感を得て2024年6月からは、新たなルートを敷く2台体制の運行(1日22便)も追加。現在、町内で延人数にして1,000名以上に利用されている。ちなみに乗降は、特定の停留所だけに頼らないフリー乗降制で、乗降客がタクシー乗車時と同じく手を挙げれば止まり、車両の接近については太地町のテーマソングで知らせるというスタイルだった。

 

しかし利用者が拡大するなか、音で車両接近を伝えるスタイルは見通しの悪い路地から県道へ出る時などで、地域学校に通う小学生や歩行者が自動運転車両の接近に気づかず、危険なことが課題となった。

 

 

そこで今回、狭い路地から県道に出る見通しの悪い場所にLED表示板を設置。自動運転車両にはITS技術を活用した車載機(位置測位ユニットと省電力無線通信機)を搭載することで、歩行者に対してLED表示板を点灯させて注意喚起を促すスタイルが追加された。

 

この際、積水樹脂ではLED表示板がより確認され易いよう、装置下部に注意喚起灯(サンデリーⅢ)を点灯させ、LED表示板の誘目性を高めるなどの措置も追加した。

 

設置しているオプトマーカー

 

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和歌山県太地町自動運転車両サービスの概要

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¥太地町人口:2,826人(2024年3月末現在)
自動運転サービス運行開始:2022年11月
使用車両:ランドカー
コース:2コース
車両数:4台
便数:1日40便

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なお積水樹脂では、「当社は、長期ビジョン〝積水樹脂グループビジョン2030〟を通じて自動運転社会に貢献する次世代交通技術を成長戦略重点分野のひとつに位置づけています。

 

そうした背景から、多様な自社製品を介して円滑な相互コミュニケーションの実現を目指し、様々な自治体の社会実験に参画。蓄積した知見を生かしてまいりました。

 

今後も当社は、自動運転車両をはじめとした次世代モビリティ社会に向けた開発・研究を推進させ、自動運転車両、運転者のいる車両、歩行者が共に安全で快適な生活を送る社会を目指してまいります」と話している。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。