ソフトバンク、ALES、u-blox AGの3社は11月1日、高精度測位サービスのグローバル展開に向けた協業に合意したと発表した。
日本国内向けに高精度測位サービス「ichimill」を提供するソフトバンクと、ソフトバンクの子会社で位置補正情報の生成・配信事業を展開するALES、そして自動車や産業機器、消費者市場におけるポジショニング(測位)とワイヤレス通信電子部品の世界的なテクノロジーリーダーであり、欧米を中心に高精度測位サービス「PointPerfect」を展開するスイスのu-bloxが協業することで、グローバルに事業を展開する自動車メーカーや建機・農機メーカーが、日本や欧米などで共通して高精度測位サービスを利用できる環境の構築を目指す。
具体的には、グローバルに対応した補正情報配信基盤や、GNSS受信機などのデバイスの開発、サービス対象エリアの拡大などに取り組む予定だとしている。
■協業の概要
(1)グローバルな補正情報配信基盤の開発
高精度測位サービスは、国や地域によって普及している補正手法が異なり、補正信号の形式(フォーマット)も多岐にわたっている。この補正信号のフォーマットを配信システム上で統一し、国や地域を問わず利用できる補正情報配信基盤を、2022年内をめどに開発。これにより、「ichimill」または「PointPerfect」を利用している企業は、両サービスの対象エリア内であれば、国や地域ごとにサービスを契約しなくても、高精度測位が行えるようになる。
(2)グローバル対応デバイスの共同開発
高精度測位サービスの普及には、補正情報の配信だけではなく、GNSS受信機などのデバイス面においても導入しやすい環境が必要。ソフトバンクは、「ichimill」の提供と併せて、導入しやすい価格帯のGNSS受信機を独自開発し、日本国内向けに提供する。今後3社は、グローバルに利用できるGNSS受信機やモジュールの開発に向けて取り組んでいく。
(3)測位精度の向上とサービス対象エリアの拡大
現在u-bloxが「PointPerfect」を展開している欧米エリアについて、ソフトバンクが「ichimill」の提供で培ってきたノウハウを活用しながら、測位精度の向上を検討する。さらに、アジア圏などへのサービス対象エリアの拡大についても、3社で検討していく予定。
また、ソフトバンクでは、海上や上空、発展途上国やルーラルエリアなどのインターネット環境が整っていない地域においても、誰もがインターネットに接続できる世界を目指して、宇宙空間や成層圏から通信ネットワークを提供する非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network、以下「NTN」)ソリューションの展開に向けて取り組んでいる。今後は、NTNの帯域に適した少量データの補正情報配信など、NTNソリューションと連携したサービスの開発も検討していく。