TISは5月21日、札幌市内の観光周遊の促進を目指すサービス「札Navi(サツナビ)」の実証事業を2021年2月1日から2021年2月21日まで実施したことを発表した。
この事業は、国土交通省の「令和2年度日本版MaaS推進・支援事業」に選定されたもので、札幌市内における地下鉄、バスなどの公共交通機関と観光施設を連携し、市内の観光周遊促進を目指したもの。TISと一般社団法人さっぽろイノベーションラボ(以下「さっぽろイノベーションラボ」)が幹事社を務める札幌型観光MaaS推進官民協議会により実施された。
「札Navi」は、ユーザー属性・趣味嗜好データを基に観光地をレコメンドし、公共交通機関を使って、訪れたい複数の観光地を回る最適なルート(時刻・乗る便など)を提案する。タクシーの配車、外部チケットサイトで施設入場券の購入も可能だ。
「札Navi」実証事業の結果
■利用者動向
■ユーザーアンケート結果
・「札Navi」で提案した観光地を訪れた割合は全体の約9割に及んだ。
・「札Navi」を利用した評価として、約6割が「非常に良かった」・「よかった」と回答。その理由として、「目的の観光地への移動手段を知ることができた」という回答が最も多く得られた。
・約7割が「”札Navi”の利便性が向上すれば今後も利用して観光をしたい」と回答。
今後の改善点
(1)多様な移動手段の確保、機能改善
「札Navi」で提案した移動手段およびタクシー配車機能は、約4割のユーザーは利用しておらず、その理由として「提案された移動手段よりも適切な移動手段がある」という回答が、約7割を占めた。今後は、提案する移動手段に多様なモビリティを組み込み、移動手段検索としての機能の充実を図る。
(2)レコメンド機能、旅程提案機能の改善
レコメンド、旅程提案機能に関して、「滞在時間を自分で設定したい」「旅程を自分で編集したい」といった、要望が多数寄せられた。ユーザー自身で旅程を編集できるよう、旅程機能に柔軟性を持たせることを検討していく。
(3)お得なサービス、決済機能の導入
複数の移動手段にまたがる乗り放題チケットの提供や、提案された施設を訪れることでクーポンが得られるなど、利用者にお得感のあるサービスの提供を検討していく。また、公共交通機関や観光施設などでその都度、決済をするのではなく、一元的に自身のスマートフォンで決済が完結する仕組みなども検討していく。
今後の方向性について
札幌型観光MaaS推進官民協議会では、実証実験結果から得られた情報をもとに「札Navi」のアップデートを図るとともに、交通事業者との連携を進め、サービス品質の向上を目指す。TISは「札Navi」の発展に取り組むとともに、飲食や宿泊など異業種との積極的なデータ・システム連携、例えばユーザーが過去に訪れたことのある飲食店や宿泊施設などの情報を基に観光情報を提供するなど、付加価値の高いサービス創出に注力するとしている。