ローカル5Gによる自動運転バスの遠隔監視・操作
埼玉工業大学、ITbookホールディングス、エイビットは共同で、水陸両用無人運転技術の開発においてローカル5Gを導入し、埼工大キャンパス内(深谷市)で運用を開始した。埼玉工業大学が、1月27日発表した。
ローカル5Gを大学のキャンパス内で実験試験用に導入する例は、国内でもまだ例が少なく、埼玉県内の大学として初の先進的な研究・開発の取り組みである。
第5世代移動通信システム(5G)は、高速大容量・低遅延・多接続の特長により注目されており、サービスの普及が開始。その5Gを工場や建物など特定のエリア内で活用するローカル5Gは、地域や産業の個別のニーズに応じて、柔軟に様々な構築ができる5Gシステムとして期待されている。
ローカル5Gの基地局1
埼玉工業大学とITbookホールディングスの子会社であるITbookテクノロジーは、「水陸両用無人運転技術の開発 ~八ッ場スマートモビリティ~」における水陸両用バスの自動運転・運航システムの構築を昨年4月より実施。今回、ITbookホールディングスは「ローカル5G用無線局」の実験試験局免許を取得。本実証事業における自動運転実験車両兼船舶の遠隔監視や遠隔操作へのローカル5Gの有効性を検証するとしている。
今回導入したローカル5G検証機は、エイビットの開発したローカル5G製品「AU-500」。ローカル5Gにより、高解像度の映像に加え、自動運転車両兼船舶のデータを高品質かつリアルタイムに伝送、自動運転で走行する車両を監視、制御することで、スムースな遠隔操作が可能となる。
現在、埼玉工業大学のキャンパス(深谷市)内における研究・開発で利用しているが、さらに群馬県・長野原町の八ッ場ダム周辺において、水陸両用無人運転・運航の技術開発に利用する予定。
この開発は、公益財団法人日本財団(以下、「日本財団」)「無人運航船の実証実験にかかる技術開発共同プログラム」に、ITbookホールディングスが代表となる「水陸両用無人運転技術の開発 ~八ッ場スマートモビリティ~」が採択されたものである。
このプロジェクトには、埼玉工業大学、エイビット、長野原町、日本水陸両用車協会がコンソーシアムのメンバーとして参画している。
ローカル5Gの基地局2
■ローカル5G
通信事業者が提供する通信サービスとは別に、企業や自治体などが建物や敷地内などで特定エリアにおいて利用できる5Gネットワーク。ローカル5Gの導入では無線局免許の取得が必要となる。
■埼工大の水陸両用バスの自動運転・運航システムの取り組み
埼玉工業大学は、ITbookテクノロジーとの共同研究契約により、自動運転・運航の水陸両用バスの実験車両兼船舶の開発と、ソフトウェアを設計・開発している。
共同研究では、埼玉工業大学の自動運転バスにも用いられている、ジョイスティックロボカー技術及びオープンソースの自動運転ソフトウェアであるAutoware(*)をベースに、水陸両用バスの自動運転・運航システムを構築する。
*:「Autoware」はThe Autoware Foundationの商標。
このシステムを用い、主に次の技術の実証実験を行う。
(1)離着水・離着桟における位置推定及び自動運航技術
(2)水上障害物検知及び回避のための技術
(3)ローカル5G等を用いた遠隔操作技術
・埼玉工業大学 自動運転特設サイト:http://saikocar.sit.ac.jp/
■関連情報
・日本財団プレス:世界初、無人運航船の実証実験を開始(2020.06.12)
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2020/20200612-45056.html
・『水陸両用無人運転技術の開発 ~八ッ場スマートモビリティ~』の実証実験プロジェクト
https://ssl4.eir-parts.net/doc/1447/tdnet/1857901/00.pdf
・埼玉工業大学、ITbookと水陸両用無人運転・運航技術を共同開発
https://www.sit.ac.jp/media-s/2020/press/200706_01.pdf