実証を通じてカーボンニュートラルへの貢献と水素による新たな食の体験の提供を目指す
リンナイ、トヨタ自動車、ウーブン・プラネット・ホールディングスの3社は10月4日、新たな水素利用の一手段として水素を直接燃焼させて行う水素調理の共同開発を開始すると発表した。( 坂上 賢治 )
具体的には、静岡県裾野市にトヨタが建設を進めているウーブン・シティ( Woven City )で実証を行い、水素調理によるカーボンニュートラルへの貢献と、水素による新たな食の体験の提供を目指す。
ちなみにリンナイは、1920年に名古屋瓦斯( 現・東邦ガス )の社員だった内藤秀次郎氏と林兼吉氏により創設された「林内商会」が始まり。当初は、加圧式石油コンロの製造・販売を皮切りに、昭和初期迄はガステーブルコンロ、ガスレンジ、ガスストーブ、ガス湯沸器などのガス機器に逸早く取り組んできた。
戦時中は軍の監督工場となり、航空機部品を製作する「林内航空機製作所」に改称した時期もあったが、1950年に株式会社に改組し、社名を株式会社林内製作所としている。
創業を通してリンナイは、世界初となるセラミック素材使用の遠赤外線バーナーや、ガスとマイクロウェーブ加熱を併用するコンビネーションレンジを開発するなど、技術志向のメーカーと言われていたが、今日に於いては、世界中の人々の健全で心地よい暮らしと持続可能な社会実現への貢献を目指している。
2022年5月には給湯分野で水素100%燃焼の技術開発に成功した事を発表
特にカーボンニュートラル実現に向けては「リンナイイノベーションマニフェスト2050( Rinnai Innovation Manifesto 2050 )」宣言を経て、2022年5月には給湯分野で水素100%燃焼の技術開発に成功した事を発表するなど、独自で、水素燃焼機器の開発を進めてきた経緯もある。
今回リンナイとトヨタは、「カーボンニュートラル実現への強い思いを共有し、水素が生活の様々な場面で安全に使用される身近なエネルギーとなることを目指し、ウーブン・プラネットとともに、水素調理に関する共同開発を開始しました。
ウーブン・シティなどでの実証を通じ、調理時にCO2を排出しない水素調理の最も安全で効率的な燃焼方法を検討すると共に、水素調理が食材に与える味や風味などへの効果を科学的に検証します。
この共同開発により、水素の用途拡大と水素による「新たな食の体験」創出に向け、両社で水素調理の可能性を模索してまいります」と共同開発に掛かる夢の実現を宣言した。
新たな水素の使い方にチャレンジ、共に持続可能な社会への貢献を目指す
なおリンナイの内藤 弘康代表取締役社長は、「エネルギーに深く関わるメーカーとしてトヨタの構想に強く共感するとともに、ウーブン・シティに参画できることを大変嬉しく思います。
リンナイは生活に密着した家庭用の商品を提供していますので、この共同開発は調理機器という分野で強みを生かせる事ができ、更に地球環境に貢献出来るという相乗効果の広がりを感じます。
またこのようなテーマに携わることが出来る喜びを噛み締めながら、ウーブン・シティの実現、さらにはカーボンニュートラルの実現に向けて全力で取り組んでいく所存です」と述べた。
対してトヨタの取締役執行役員でウーブン・プラネット代表取締役のジェームス・カフナー( James Kuffner )CEOは、「調理機器のスペシャリストであるリンナイと共に、新たな水素の使い方にチャレンジ出来る事を大変嬉しく思います。
CO2を排出する現在のプロパンガスや天然ガスを用いた調理方法に対し、サステナブルなエネルギーによる水素調理で新たな食の体験の提供に取り組み、共に持続可能な社会への貢献を目指します」と結んでいる。