理化学研究所(理研)は、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律(※1)施行に伴い、理研鼎業(りけんていぎょう)に全額出資し、9月5日付けで設立登記の申請を行った。
新会社では、専門的な知見やノウハウに基づく、ライセンス活動、ベンチャー支援活動、共同研究促進活動、共創活動を、より発展・充実。理研から受託した研究成果の社会還元、産業界との連携促進などの業務を実施する。
理研は、第4期中長期計画(※2)等において、2018年4月1日から2025年3月31日までの7年間における中長期目標を達成するため、産業界との共創機能の強化と成果活用等支援法人等への出資を含め、関係機関との連携強化等による研究成果の社会還元の推進等を計画。
自ら創出した研究成果の迅速な社会的価値への還元を図るため、産業界との組織対組織の連携を促進するとともに、多様な収入源による新たな研究資金の確保を目指し、今回、産学連携に関する業務を担う外部法人を設立する。
新会社設立に際して、理研の松本紘理事長は、以下のように話している。
「理研は、基礎科学を中心とした研究機関というイメージが強いと思います。その実は、理研の研究成果の多くが産業界等での技術開発に活かされており、他機関の特許における論文引用実績は日本トップクラスです。
この度、多くの方のご尽力により、科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律が成立し、理研が出資することが可能となりました。これにより、理研の産学連携業務を外部法人化するという、新たな事業を展開できるようになりました。今回の会社設立で、数年来構想を温めてきた新事業が、スタートラインに立ったこととなります。
特定国立研究開発法人としてイノベーション創出のモデルを示し、我が国の発展に寄与するべく、理研は理研鼎業とともに、より迅速かつより高度な科学技術の社会実装に努めて参る所存です」。
[理研鼎業の概要]
– 社名:株式会社理研鼎業(りけんていぎょう)RIKEN Innovation Co.,Ltd.
– 設立日(登記申請日):2019年9月5日
– 代表者:油谷 好浩(あぶらたに よしひろ)
– 資本金:9,000万円
– 所在地:埼玉県和光市広沢2-1
※理研鼎業は、”経営、技術、社会貢献(CSR:Corporate Social Responsibility)”を基軸として、日本のイノベーション創出に貢献するといった意味を込めて、古代中国において3本脚の金属製の器、祭器を意味し、「鼎談」や「鼎立」など、3という数を表す漢字としても用いられるこの漢字を社名に採用した。
[業務内容]
理研鼎業は、理研の産学連携業務を受託実施し、
① 理研の研究成果をいち早く社会的価値に還元する方策の実施
② 産業界との「組織」対「組織」の連携の促進
③多様な収入源の確保による理研の財務基盤の強化、新たな研究資金の確保による研究活動の充実
等を推進することにより、我が国のイノベーション創出に貢献することを目的としている。
[理研鼎業の機能]
■理研鼎業の機能と理研との関係性
1. TLO(ライセンス)機能
・理研研究者の発明相談、企業の市場調査を含めた知財発掘・権利化の戦略的な遂行。
・企業に対する知財のライセンス営業活動およびライセンス契約交渉。
2. ベンチャー支援機能
・理研ベンチャーの設立に向け、理研の研究成果をもとにした事業アイデアの創出や事業計画策定等の支援。
・事業を開始したベンチャーへの資金調達に向けた経営支援等。
3. 共同研究促進機能
・理研と企業との共同研究の発掘、折衝、成約活動。
・共同研究の出口を見据えたコーディネート活動。
4. 企業共創機能
・企業戦略に資する理研の研究成果や知財情報や共有の場を提供。
・企業に対して理研の研究内容や研究者の紹介を通じたコンサル活動。
・産業界を含めたコンソーシアムの構築活動支援。
※1)科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律研究開発力強化法(平成20年法律第63号)の改正法として2019年1月17日に施行。同法により、国立研究開発法人は自らの研究開発成果の活用のため、民間事業者への移転及び共同研究のあっせん等により活用を促進する者や事業活動において活用する者等に対する出資並びに人的及び技術的援助が可能となった。
[問い合わせ先]
理化学研究所 イノベーション事業支援法人設立準備室
電話: 048-467-4591
innovation[at]ml.riken.jp(※上記の[at]を@に。)
■理化学研究所 中長期計画(PDF):http://www.riken.jp/~/media/riken/about/plan/pdf/midplan2018-2025.pdf