リコーが開発した一般車両搭載型トンネル点検システムが、国土交通省の公共工事等における新技術情報提供システム(NETIS:New Technology Information System)に登録された。
約1万本のトンネルがある日本で、その老朽化に伴う安全管理が社会的な課題となるなか、国交省は2014年、「道路トンネル定期点検要領」を発表。現在、全国でトンネルの維持管理のための定期点検が行われている。
従来、トンネルの点検は、交通規制をしたうえで、特殊な高所作業車を利用し、目視での確認を行うため、作業が危険な上、多くの人員や時間を要していた。
これに対し、リコーは、独自の被写界深度拡大カメラ(*)を搭載したラインセンサー型計測システムを一般自動車に搭載し、わずかな調整のみでトンネル壁面の走行撮影が可能なトンネルのモニタリングシステムを開発した。
システムは、コンパクトなシステム構成のため、一般車両への搭載可能で、計測システムだけを取り外して輸送することも可能。さらに、トンネル覆工面の展開画像を基に点検調書作成を支援するソフトウェアにより、スケッチや写真撮影の工数も低減すると云う。
リコーは、8月に社会インフラ向け点検サービス「リコー 路面モニタリングサービス」の提供を開始するなど、独自の光学技術やシステムで、さまざまな社会インフラの維持管理に応用可能な技術を開発し、今回トンネルにその範囲を拡大。
社会インフラをモニタリングするシステムを開発することにより、事業を通じて社会インフラの老朽化、人手不足などの社会課題の解決に貢献していくとしている。
*被写界深度拡大カメラ:被写界深度(撮影画像の焦点が合っているように見える被写体の距離の範囲)を拡大するカメラ。
[登録情報]
– NETIS番号:KT-190062-A
– 新技術名称:一般車両搭載型トンネル点検システム
– 登録日:2019年10月17日
■(リコー)トンネルのモニタリングシステム:https://jp.ricoh.com/technology/tech/087_tunnel_monitoring
■(国交省)道路トンネル定期点検要領(PDF):https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/yobohozen/tenken/yobo3_1_9.pdf