リコーは、独自に開発した路面性状モニタリングシステムを用いた社会インフラ向け点検サービス「リコー 路面モニタリングサービス」の提供を8月1日から開始する。
このサービスは、複数台のステレオカメラ(*)を搭載した一般車両を用いて、走行しながら路面の状態を撮影し、AI(人工知能)による機械学習を活用した分析を行うことで、撮影から測定結果の算出および報告書の作成までを自動で実施するもの。道路インフラの維持・管理を効率化すると云う。
現在、日本国内に存在する約122万kmの道路(実延長)の内、自治体管理の市町村道が約84%を占めている。
これら路線は、高度経済成長期に敷設されたものも多く、経年により老朽化しているが、人手不足や効率等の課題により、点検しきれていない路線も数多く存在している。
これに対し国は、2016年に点検要綱を改訂し、点検手法の見直しや効率化につながる新技術の採用を推奨。今後都道府県・政令指定都市を含めた様々な自治体において、これら技術を活用した道路点検・管理のニーズが高まると予測されていると云う。
一般的に、道路の維持・管理の指標には、「ひび割れ率」、「わだち掘れ量」、「平たん性」の3種類のデータが利用される。
「リコー 路面モニタリングサービス」では、ステレオカメラで路面の3次元画像と輝度画像を同時に撮影し、輝度画像のAIによる機械判読から「ひび割れ率」を、3次元画像から「わだち掘れ量」と「平たん性」を算出することで、この3種類のデータの自動算出を実現。あわせて、道路維持管理の総合的指標「MCI(Maintenance Control Index)値」の算出も行う。
これにより、路面舗装状態を網羅的かつ効率的に把握できるため、道路修繕の優先順位が効率的かつ的確に判断できるようになると云う。
さらに、システムは一般車両をベースとしているため、計測装置の製作及び維持管理費用を大幅に抑制、従来人手による多大な工数を要していた測定結果の算出や報告書の作成までのプロセス全体の自動化による費用抑制と合わせ、点検コストの大幅低減にも繋がることが見込まれる。
加えて、従来の大型専用車両では計測が困難であった生活道などの細い路線にも対応できるため、点検対象の拡大にも貢献するとしている。
同システムは2018年度、ステレオカメラで構成されるシステム搭載車として初めて、土木研究センターによる「路面性状自動測定装置の性能確認試験(以下、性能確認試験)」に合格。性能確認試験合格車両での測定が求められる公共事業の路面性状調査業務の実施にも対応している。
リコーは今後、道路点検業務の受託業者を通じ、より多くの道路に本サービスを展開していくことで、道路インフラの維持・管理の効率化に寄与していくとしている。
*)ステレオカメラ:2台のカメラの視差情報を利用して被写体の奥行き情報(3次元情報)を得るカメラのこと。
■(リコー)路面性状モニタリングシステム:https://jp.ricoh.com/technology/institute/research/tech_road_surface_monitoring