楽天は、電力小売事業で沖縄エリア(注1)に進出し、低圧、高圧および特別高圧の電力利用の法人を対象に、電力供給サービスの提供を開始する。
高圧・特別高圧電力は9月1日から、低圧電力は12月以降の開始予定。
今回の沖縄エリアへの進出により、楽天のエネルギーソリューションサービスを提供する「楽天エナジー」の法人向け電力供給サービス対象エリアは、北海道から沖縄まで日本全国となる。
楽天は沖縄電力との「接続供給兼基本契約」等の締結を経て、同社が提供する「卸電力メニュー(注2)」を活用した安定的な電力の供給を行う。
沖縄エリアでは、既に電子マネー「楽天Edy」、旅行予約サービス「楽天トラベル」、ゴルフ場予約サービス「楽天GORA」など、楽天グループ提供のサービスを利用する法人客とのネットワークが構築されていることから、同社は、これらグループが持つ沖縄エリアの事業基盤や那覇支社を最大限活用し、電力を中心とした幅広いサービスの提供を目指すとしている。
沖縄エリアでは、2016年4月の電力小売全面自由化以降も、新電力事業者のシェアが他エリアと比べて低い状況が経済産業省の「電力・ガス取引監視等委員会」にて指摘されていた(注3)。
卸電力取引市場が無い沖縄エリアでは、この状況を改善するため、経済産業省主導のもと、今年4月に沖縄電力が「卸電力メニュー」を新設。新電力事業者は、この「卸電力メニュー」を負荷追従部分への電源として活用可能となった。
これにより楽天は、従来のベースロード電源部分である「常時バックアップ契約(注4)」に加えて、「卸電力メニュー」をミドル電源として活用可能となり、ピーク電源部分については相対契約に基づく発電所や工場の自家発電、FIT制度に基づく太陽光発電からの電源の調達、およびデマンドレスポンスなどを活用することにより事業性が向上すると判断、沖縄エリアに進出することを決定した。
楽天は、2013年6月に電力を中心としたエネルギーソリューションサービス「楽天エナジー」を立ち上げ、2017年2月には経済産業省・資源エネルギー庁による小売電気事業者の登録を受け、電力小売事業に本格参入している。
(注1)沖縄本島と電力系統がつながっていない以下の離島は、サービス対象外となる。
粟国島、渡名喜島、久米島、奥武島、オーハ島、北大東島、南大東島、宮古島、池間島、大神島、来間島、伊良部島、下地島、多良間島、水納島、石垣島、竹富島、西表島、鳩間島、由布島、小浜島、黒島、新城島(上地)、新城島(下地)、波照間島、与那国島
(注2)経済産業省 「第27回 制度設計専門会合 沖縄電力提出資料 卸電力市場活性化に係る自主的取組みの検討状況について」を参照:http://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_system/pdf/022_03_01.pdf
(注3)経済産業省 「第27回 制度設計専門会合 事務局提出資料 沖縄地域における卸市場活性化について」を参照:http://www.emsc.meti.go.jp/activity/emsc_system/pdf/027_06_00.pdf
(注4)注経済産業省 「適正な電力取引についての指針」を参照:
旧一般電気事業者が新規参入者に対して、継続的に電力の卸供給を行うこと(低圧需要:1割程度、特高・高圧需要:3割程度)http://www.meti.go.jp/press/2016/02/20170206006/20170206006-1.pdf
[楽天エナジーの沖縄エリア・サービス概要]
開始時期:高圧・特別高圧電力 9月1日、低圧電力 12月以降(予定)
対象地域:沖縄エリア(沖縄本島と電力系統がつながっていない離島を除く)
サービス対象: 低圧、高圧および特別高圧の電力をご利用の法人
提供サービス:
低圧、高圧および特別高圧の法人向け電力供給サービス「楽天でんきBusiness(※)」
https://energy.rakuten.co.jp/powermanagement/
※2018年8月1日から、「iシェアリングサービス」は「楽天でんきBusiness」へ名称を変更した。