チリのeフューエルパイロットプラントが公式にオープン
独ポルシェAGはチリ現地時間の12月20日、チリの事業会社のHighly Innovative Fuels(HIF)と、同社と提携する国際パートナーと共に合成燃料の工業生産を開始した。
チリのディエゴ・パルドウ・エネルギー大臣出席の下、プンタ・アレーナス(チリ)の「Haru Oni」パイロットプラントが2022年12月20日(チリ現地時間)付けで公式に開設された。
ポルシェ取締役会のメンバーであるバーバラ・フレンケルとミヒャエル・シュタイナーは、ここで製造された最初の合成燃料でポルシェ911への燃料補給のセレモニーを行った。
風力エネルギーを使用して水と二酸化炭素から作られたeフューエルは、ガソリンエンジンによるほぼCO2ニュートラルな走行を可能にする。
この取り組みについてポルシェAG調達担当取締役のバーバラ・フレンケル氏は、「ポルシェは、eモビリティと補完的なテクノロジーとしてのeフューエルというダブルeの道を歩むことを約束します。eフューエルを使用する事で、CO2排出量を削減する事が出来ます。
交通部門全体を見ると、合成燃料の工業生産は世界的にどんどん進めていくべきです。eフューエルパイロットプラントにより、ポルシェはこの開発に於いて主導的な役割を果たしています」と話す。
また同じくポルシェAGで研究開発担当取締役を務めるミヒャエル・シュタイナー氏は、「eフューエルの可能性は非常に大きいといえます。
現在、世界には13億台以上の内燃エンジンを搭載した自動車が存在し、これらの多くは今後数十年に亘って路上で使用される事になります。eフューエルは、既存の車の所有者に、ほぼカーボンニュートラルな代替燃料を提供します。
高性能で効率に優れたエンジンを製造するポルシェは、燃料の分野でも幅広いノウハウを持っています」と話している。
なおパイロット段階では、年間約13万リッターのeフューエルの生産が予定されている。同燃料は初めは、ポルシェ・モビール1スーパーカップやポルシェエクスペリエンスセンターなどのライトハウスプロジェクトにて使用される予定。
そうしたパイロット段階を経た後、最初の目標としてチリでの炭素中立燃料の生産プロジェクトは2024年迄に年間5,500万リッターに。その約2年後の生産量は5億5,000万リッターになる予定という。
ちなみにチリ南部は、年間270日程度の風が吹くため風力発電機をフル稼働させる事が可能なため、eフューエルの生産に理想的な条件を備えている。
加えてプンタ・アレーナスはマゼラン海峡の近くに位置しており、カボ・ネグロ港から、従来の燃料と同じようにeフューエルを世界中に輸送し、既存のインフラを利用して流通させる事が出来る。
ポルシェは、2030年迄にバリュー チェーン全体でCO2ニュートラルなバランスシートを目指している。ここには将来の電気自動車モデルのCO2ニュートラルな使用段階も含まれる。この合成燃料はeモビリティを補完するものであり、ポルシェの持続可能性戦略の一環となっている。
ポルシェは、eフューエルの開発と生産に既に1億ドル以上を投資。2022年4月には、HIF Global LLCに7,500万ドルを出資した。このeフューエルに係る事業会社は、チリ、米国、オーストラリアでeフューエルプラントを計画、建設、運営を行っている。