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2022年12月21日【ESG】

ポルシェ、チリで内燃車向け合成燃料の生産へ

坂上 賢治

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チリのeフューエルパイロットプラントが公式にオープン

 

独ポルシェAGはチリ現地時間の12月20日、チリの事業会社のHighly Innovative Fuels(HIF)と、同社と提携する国際パートナーと共に合成燃料の工業生産を開始した。

 

チリのディエゴ・パルドウ・エネルギー大臣出席の下、プンタ・アレーナス(チリ)の「Haru Oni」パイロットプラントが2022年12月20日(チリ現地時間)付けで公式に開設された。

 

 

ポルシェ取締役会のメンバーであるバーバラ・フレンケルとミヒャエル・シュタイナーは、ここで製造された最初の合成燃料でポルシェ911への燃料補給のセレモニーを行った。

 

 

風力エネルギーを使用して水と二酸化炭素から作られたeフューエルは、ガソリンエンジンによるほぼCO2ニュートラルな走行を可能にする。

 

この取り組みについてポルシェAG調達担当取締役のバーバラ・フレンケル氏は、「ポルシェは、eモビリティと補完的なテクノロジーとしてのeフューエルというダブルeの道を歩むことを約束します。eフューエルを使用する事で、CO2排出量を削減する事が出来ます。

 

 

交通部門全体を見ると、合成燃料の工業生産は世界的にどんどん進めていくべきです。eフューエルパイロットプラントにより、ポルシェはこの開発に於いて主導的な役割を果たしています」と話す。

 

 

また同じくポルシェAGで研究開発担当取締役を務めるミヒャエル・シュタイナー氏は、「eフューエルの可能性は非常に大きいといえます。

 

現在、世界には13億台以上の内燃エンジンを搭載した自動車が存在し、これらの多くは今後数十年に亘って路上で使用される事になります。eフューエルは、既存の車の所有者に、ほぼカーボンニュートラルな代替燃料を提供します。

 

高性能で効率に優れたエンジンを製造するポルシェは、燃料の分野でも幅広いノウハウを持っています」と話している。

 

 

なおパイロット段階では、年間約13万リッターのeフューエルの生産が予定されている。同燃料は初めは、ポルシェ・モビール1スーパーカップやポルシェエクスペリエンスセンターなどのライトハウスプロジェクトにて使用される予定。

 

そうしたパイロット段階を経た後、最初の目標としてチリでの炭素中立燃料の生産プロジェクトは2024年迄に年間5,500万リッターに。その約2年後の生産量は5億5,000万リッターになる予定という。

 

 

ちなみにチリ南部は、年間270日程度の風が吹くため風力発電機をフル稼働させる事が可能なため、eフューエルの生産に理想的な条件を備えている。

 

加えてプンタ・アレーナスはマゼラン海峡の近くに位置しており、カボ・ネグロ港から、従来の燃料と同じようにeフューエルを世界中に輸送し、既存のインフラを利用して流通させる事が出来る。

 

 

ポルシェは、2030年迄にバリュー チェーン全体でCO2ニュートラルなバランスシートを目指している。ここには将来の電気自動車モデルのCO2ニュートラルな使用段階も含まれる。この合成燃料はeモビリティを補完するものであり、ポルシェの持続可能性戦略の一環となっている。

 

ポルシェは、eフューエルの開発と生産に既に1億ドル以上を投資。2022年4月には、HIF Global LLCに7,500万ドルを出資した。このeフューエルに係る事業会社は、チリ、米国、オーストラリアでeフューエルプラントを計画、建設、運営を行っている。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。