FIA世界耐久選手権( WEC )第7戦・富士6時間レース( 開催地:静岡県駿東郡小山町 / 富士スピードウェイ、1周4.563km、開催期間:9月13~15日 )が開催された。この期間、トヨタ陣営のホームコースであるFSWは延べ3日間で6万5800万人を収容。今季のWECは、第7戦に至るまでオーガナイザーによるBalance of Performance( 性能調整 )の影響を受けつつ戦い続けてきた。(坂上 賢治)
そんな今大会でリードポイントを積み上げ、今季のマニュファクチャラーズタイトルに近づくことを目論んだTOYOTA GAZOO Racingと、GR010 HYBRID(7号車&8号車)だったのが、第7戦に於ける8号車は同レースで表彰台目前にドライバースルーペナルティにより10位に。
7号車は、他車との接触による車両破損でリタイアに終わり、ライバルのポルシェペンスキーモータースポーツのポルシェ963・6号車( ローレンス・ヴァンスール選手、アンドレ・ロッテラー選手、ケヴィン・エストレ選手 )がシーズン2度目の優勝を果たし、蓄えた10ポイントの貯金を保った状態で来たるべき10月開催の最終戦に臨むこととなった。
当日のFSW戦・最終日は、気温30度、路面温度40度の中、キャデラックやアルピーヌ、BMWなどの新たなメーカーがWECに出走。元F1ドライバーのジェンソン・バトン選手、元MotoGPスターのバレンティーノ・ロッシ選手などのレジェンド・ドライバーが華を添えるスターティンググリッドから火蓋が切られ、今レースで優勝を果たしたポルシェ963・6号車は、5番グリッドからスタートした。
最初にルシェ963・6号車のステアリングを握ったローレンス・ヴァンスール選手は、序盤に3位に浮上した後、最高速ではトヨタに劣るマシンを巧みにコントロールしてフィニッシュラインを潜った。
8号車のチームメイトのポルシェ963・5号車( フレデリック・マコヴィッキ選手・マット・キャンベル選手・ミカエル・クリステンセン選手 )は、2周目のAコーナーでの追突に巻き込まれて予定外のピットストップ。その後、残り時間1時間の段階で接触事故にも遭遇。ホイールとサスペンションに損傷を受けリタイアとなっている。
対する2台のGR010 HYBRIDのなかで8号車( セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手 )は、終盤まで首位を目指して抗い続けたものの、レースフィニッシュまで残り16分というところで、首位を走るポルシェ6号車に対して周回遅れとして首位に進路を譲る指示の青旗を無視したとしてドライブスルーペナルティが科せられ、8位争いから脱落。結果10位でチェッカーを受けた。
またGR010 HYBRID7号車( 小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手 )は、タイヤや燃料条件でライバルよりも有利な状況を活かし残り2時間の時点で首位に立つ場面もあったが、接触事故により敢えなくリタイア。これにより最終戦に於ける小林選手とデ・フリース選手が、当初、目指していた選手権に係る逆転チャンピオンの可能性は難しくなっている。
結果、トヨタ陣営はここまで積み上げきたマニュファクチャラーズチャンピオンのタイトルを死守するべく、最終第8戦のバーレーン8時間( BIC / 10月31日から11月2日 / 5.412km )で、首位のポルシェを10ポイント差で追う。
対するポルシェは、今日本戦の勝利で勢いづいており、首位38ポイントの獲得によるハイパーカー時代初のマニュファクチャラーズタイトルを目指すと述べている。
なお先の9月7日・8日、TGRと共に東京タワー 正面玄関前イベントスペースを舞台に、富士6時間耐久レースのポップアップイベント「WEC JAPAN / 6HOURS OF FUJI」を開催したステランティ傘下のプジョー(チーム プジョー トータルエナジーズ)は予選時の苦境から抜け出し、2台のプジョー9X8 2024をトップ10内に導いた。
より具体的には、グリッド18番手からスタートしたロイック・デュバル選手(プジョー 9X8・94号車)がレース開始1時間で11位、ジャン=エリック・ベルニュ選手(プジョー 9X8・93号車)は6位まで順位を上げ、最終的には、それぞれ8位と4位を獲得している。