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2024年9月15日【イベント】

WEC2024終盤・富士でポルシェは首位を保ち最終戦へ

坂上 賢治

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FIA世界耐久選手権( WEC )第7戦・富士6時間レース( 開催地:静岡県駿東郡小山町 / 富士スピードウェイ、1周4.563km、開催期間:9月13~15日 )が開催された。この期間、トヨタ陣営のホームコースであるFSWは延べ3日間で6万5800万人を収容。今季のWECは、第7戦に至るまでオーガナイザーによるBalance of Performance( 性能調整 )の影響を受けつつ戦い続けてきた。(坂上 賢治)

 

 

そんな今大会でリードポイントを積み上げ、今季のマニュファクチャラーズタイトルに近づくことを目論んだTOYOTA GAZOO Racingと、GR010 HYBRID(7号車&8号車)だったのが、第7戦に於ける8号車は同レースで表彰台目前にドライバースルーペナルティにより10位に。

 

7号車は、他車との接触による車両破損でリタイアに終わり、ライバルのポルシェペンスキーモータースポーツのポルシェ963・6号車( ローレンス・ヴァンスール選手、アンドレ・ロッテラー選手、ケヴィン・エストレ選手 )がシーズン2度目の優勝を果たし、蓄えた10ポイントの貯金を保った状態で来たるべき10月開催の最終戦に臨むこととなった。

 

 

当日のFSW戦・最終日は、気温30度、路面温度40度の中、キャデラックやアルピーヌ、BMWなどの新たなメーカーがWECに出走。元F1ドライバーのジェンソン・バトン選手、元MotoGPスターのバレンティーノ・ロッシ選手などのレジェンド・ドライバーが華を添えるスターティンググリッドから火蓋が切られ、今レースで優勝を果たしたポルシェ963・6号車は、5番グリッドからスタートした。

 

最初にルシェ963・6号車のステアリングを握ったローレンス・ヴァンスール選手は、序盤に3位に浮上した後、最高速ではトヨタに劣るマシンを巧みにコントロールしてフィニッシュラインを潜った。

 

 

8号車のチームメイトのポルシェ963・5号車( フレデリック・マコヴィッキ選手・マット・キャンベル選手・ミカエル・クリステンセン選手 )は、2周目のAコーナーでの追突に巻き込まれて予定外のピットストップ。その後、残り時間1時間の段階で接触事故にも遭遇。ホイールとサスペンションに損傷を受けリタイアとなっている。

 

 

対する2台のGR010 HYBRIDのなかで8号車( セバスチャン・ブエミ選手、ブレンドン・ハートレー選手、平川亮選手 )は、終盤まで首位を目指して抗い続けたものの、レースフィニッシュまで残り16分というところで、首位を走るポルシェ6号車に対して周回遅れとして首位に進路を譲る指示の青旗を無視したとしてドライブスルーペナルティが科せられ、8位争いから脱落。結果10位でチェッカーを受けた。

 

またGR010 HYBRID7号車( 小林可夢偉選手、マイク・コンウェイ選手、ニック・デ・フリース選手 )は、タイヤや燃料条件でライバルよりも有利な状況を活かし残り2時間の時点で首位に立つ場面もあったが、接触事故により敢えなくリタイア。これにより最終戦に於ける小林選手とデ・フリース選手が、当初、目指していた選手権に係る逆転チャンピオンの可能性は難しくなっている。

 

 

結果、トヨタ陣営はここまで積み上げきたマニュファクチャラーズチャンピオンのタイトルを死守するべく、最終第8戦のバーレーン8時間( BIC / 10月31日から11月2日 / 5.412km )で、首位のポルシェを10ポイント差で追う。

 

対するポルシェは、今日本戦の勝利で勢いづいており、首位38ポイントの獲得によるハイパーカー時代初のマニュファクチャラーズタイトルを目指すと述べている。

 

なお先の9月7日・8日、TGRと共に東京タワー 正面玄関前イベントスペースを舞台に、富士6時間耐久レースのポップアップイベント「WEC JAPAN / 6HOURS OF FUJI」を開催したステランティ傘下のプジョー(チーム プジョー トータルエナジーズ)は予選時の苦境から抜け出し、2台のプジョー9X8 2024をトップ10内に導いた。

 

 

より具体的には、グリッド18番手からスタートしたロイック・デュバル選手(プジョー 9X8・94号車)がレース開始1時間で11位、ジャン=エリック・ベルニュ選手(プジョー 9X8・93号車)は6位まで順位を上げ、最終的には、それぞれ8位と4位を獲得している。

 

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

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1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。