KDDI、テラドローン、セコムの3社は、埼玉スタジアム2002 (埼玉県さいたま市) の協力のもと、モバイル通信ネットワーク (4G LTE) 及び、人物検知機能に対応したスマートドローンによる、スタジアムでの広域警備の実証に国内で初めて成功した。
実証実験では、高高度で広域監視する俯瞰ドローンが、AIを活用した人物検知機能によりリアルタイムに不審者を自動検知し、その位置情報を特定。地図と連動した運航管理の指示により、低高度で巡回監視する巡回ドローンが不審者のもとへ自動で急行し、監視センターに警告を通知する。
また今回、リアルタイムの不審者検知を実現するため、それぞれのドローンにAIを搭載し処理を行った。
実証実験の実施にあたり、KDDIとテラドローンは飛行エリア周辺の3次元地図情報、天気・風況情報、上空電波情報を運航管理システム上で確認できる新たな運航管理システムを開発。
これらの情報を用いた飛行の予約・承認機能により、遠隔からでも事前に遠隔監視システム上で飛行予定エリアの安全性を確認した上での飛行可否の判断を可能とした。
また、セコムは運航管理システムを警備で利用する際の要件定義を行った。
3社は、今回のAI及び情報提供機能に対応する新たな運航管理システムの開発により、警備への活用以外にも、設備点検や災害対策など、ドローンの活躍が期待される他の分野への活用が可能となるとしている。
なお、実証実験は、NEDOの「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト (DRESSプロジェクト/注3)」における、「警備業務に対応した運航管理機能の研究開発」の一環として実施された。
[実証実験について]
実証試験は、11月28日に埼玉スタジアム2002で、以下の内容で実施された。
① 高高度で全体を監視する俯瞰ドローンがスタジアムにいる不審者をAIが自動検知、位置情報を算出する。
② 算出した不審者の位置情報を低高度で巡回している巡回ドローンに運航管理システムを介して送信。
③ 受信した位置情報をもとに巡回ドローンが不審者のもとに急行する。
[運航管理システムについて]
KDDIとテラドローンはDRESSプロジェクトにおいて、ドローンの運航管理システムの開発を推進。ユーザーが扱う運航システムの上位に管理システムを構築し、ドローンの飛行に必要な各情報による飛行予約・承認機能の実装により、事前に周辺環境の安全性を確認した上での飛行判断が可能となるとしている。
なお、地図データはゼンリン、天気・風況データはウェザーニューズ提供の情報を活用している。
[各社の役割]
<KDDI>
「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」における、警備業務に対応した運航管理機能の研究開発を推進。ドローンのLTE通信モジュールと運航管理システムを提供し、4G LTE通信ネットワークを活用した遠隔での自律飛行を実施。
<テラドローン>
警備用無人航空機の運航管理機能の開発の実施主体。複数機体の計画的運航の作成・管理、突発的運航の対応、空域の管理、情報提供機能との接続、機体および搭載機器の制御を行う運航管理システムの開発と提供。
<セコム>
警備観点からの運航管理機能の要件定義。実証実験シナリオの構築。
注1:KDDIの通信ネットワークを利用し、より長距離で安全な運用を可能としたドローン。
注2:2018年12月18日セコム調べ。モバイル通信ネットワークを活用し、AIを搭載したドローンによる遠隔警備。
注3)DRESS(Drones and Robots for Ecologically Sustainable Societies project):ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト (DRESSプロジェクト)。プロジェクト期間は2017年度から2021年度の5年間で、2018年度予算は32.2億円。
■(KDDI)スマートドローン:http://smartdrone.kddi.com/
■(NEDO:新エネルギー・産業技術総合開発機構)ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト:http://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP2_100080.html