パナソニック・コネクト傘下のBlue Yonder(ブルーヨンダー/本社:米国アリゾナ州スコッツデール)は10月11日(英・ロンドン時)、Tim Robinson氏(ティム・ロビンソン)とLloyd Dorfman氏(ロイド・ドーフマン)の両名により共同設立された物流ソリューション企業Doddle社(ドドル)との買収協議で合意した。
このDoddle社は、英国ロンドンに本社を置き、米国、オーストラリア、ヨーロッパ、日本など全世界に拠点を展開。ファーストマイル(生産拠点から一次流通倉庫までの輸送)から、ラストマイル(配送センターや倉庫などから最終顧客への配送)に亘るサプライチェーン全域で、独自のノウハウを持つテクノロジープラットフォーム企業だ。
同社のソリューションは、AmazonやAustralia Post、ヤマト運輸などの大規模配送ネットワークを支援。エンドツーエンドの返品管理、ドロップオフの自動化、宅外ネットワークの運営・管理などをフルカバーしている。
そんなDoddle社の目標は、宅配業者や小売業者に対してeコマースをより効率的で持続可能なものとし、消費者により良い購買体験を提供することにある。そのために保持している様々なソリューションは、流通網ビジネの知見に基づき継続的に刷新・更新され、消費者側のユーザージャーニーも常に最適化され続けている。
今回のBlue Yonderよる同社買収によってBlue Yonder側は、流通網に係る取り扱い製品(サプライチェーンマネジメントやeコマースソリューションツール)が強化される。
具体的にはDoddle社の機能を利用し、小売業者や物流サービスプロバイダーへ向けたビジネスを強化。小売業者や物流会社の返品管理などに於いても有益なソリューションが提供できるようになるため、これまで以上の持続可能なサプライチェーンの構築支援ができるようになる。
同買収についてBlue YonderのDuncan Angove(ダンカン・アンゴーヴ)CEOは、「Doddle社は、ファーストマイルやラストマイルに加え、オムニチャネルでも返品の課題を解決するなど、他社が克服できなかった事案の解決をことごとく成し遂げました。
そんなDoddle社の真の強みは、返品の開始から返品ルールの策定、店頭での返品処理、セルフサービス上でのキオスク、そして倉庫での返品処理、在庫に戻すなどの一連の輸送・配送プロセス上の課題を、エンドツーエンドで自己解決できる点にあります。
彼らのソリューションは、他社には無い優れた顧客体験を実現し、サプライチェーン分野の変革を目指す私たちの事業は大きく前進することになるでしょう」と述べた。
ちなみに全米小売業協会 (NRF: National Retail Federation)によると、2022年には消費者から8,160億ドル相当以上の商品が返品され、その返品された商品の約50%しか店頭に戻らないとする試算がある。
従って返品管理は顧客の購買体験の向上みならず、流通網全体の収益性にも大きく影響を与えることが認識されるようになっており、返品は、小売業者や物流会社・消費者のいずれの側にとっても面倒な課題となっている。
そうした環境下でDoddle社は、顧客企業に対してコストと在庫の無駄を削減するシームレスなソリューションを提供している。
ゆえに今買収により両社は、包括的なサプライチェーン全域で、他社では成し得ないソリューションを持つ企業となる。
つまり小売業者、物流会社、郵便事業者はBlue Yonderの倉庫管理システム(WMS)、注文管理システム(OMS)、輸送管理システム(TMS)に加え、事業コスト削減でも成長の可能性を享受できるようになるのだ。
対してDoddle社は、Blue Yonderのソリューションを取り組むことで、顧客とのエンゲージメントから店舗、フルフィルメントセンター介した物流に至るネットワークを100%管理し、リバースロジスティクス、輸配送の集約、在庫の把握に必要なエコシステムを形成できるようになる。
Doddle社の創設者兼CEOであるTim Robinson氏(ティム・ロビンソン)は、「現在、世界中で900 社以上の小売業者や物流会社が我々のサービスを利用し、当社はファーストマイルからラストマイルに至るサプライチェーン全域での課題解決に貢献しています。
しかしながら以前より、より完璧な課題解消には、より強力なサプライチェーン構築のための新たなソリューションの必要性を認識していました。
そうしたなかBlue Yonderが持つ専門知識と深く連携することで、より多くの企業の課題解決を支援できることでしょう」と語っている。