パナソニックは、水素の実用性を検証するため、滋賀県草津市にあるアプライアンス社の草津拠点構内に水素ステーション「H2 Kusatsu Farm」を建設し、同ステーションから水素補給した燃料電池フォークリフトの構内運用を開始した。
「H2 Kusatsu Farm」は、太陽光パネルの電力で水を電気分解して水素を製造する水電解水素製造装置と、家庭用燃料電池「エネファーム」で培った技術を生かして開発を進めているガス改質による小型水素製造装置の2つの方式を採用し、天候に左右されない、安定的な水素の供給が可能。
施設は、1日に燃料電池フォークリフト約2台分(*1)の水素製造能力を有し、約3分間(*1)でフル充填ができるため、長時間の充電が必要なバッテリー式フォークリフトに比べ、時間的なロスがなく効率的に稼働できると云う。
パナソニックは、水素を充填したフォークリフトを、構内の「エネファーム」工場の完成品などの運搬に用い、水素エネルギーの安定運用や経済性などを検証しつつ、水素製造装置の技術開発を今後加速する。
クリーンかつ安定供給が可能で、長期貯蔵や運搬が容易という特長を持つ水素は、太陽光・水力・風力発電などの再生可能エネルギーとの組み合わせによる活用を含め、脱炭素社会に向けた次世代エネルギーとして、国際的にも関心が高まっている。
パナソニックは、都市ガスから生成した水素を用いて電気と熱をつくる世界初の家庭用燃料電池「エネファーム」を2009年に日本で発売して以来、発電耐久時間の向上、高効率化、コンパクト化などの進化に力を注ぎ、現在、ドイツやイギリスなど欧州7カ国(*2)にも展開するなど、燃料電池事業を発展させてきた。
また、水素を燃料として効率的に発電する純水素燃料電池の開発も進めており、2012年以降、山梨県「ゆめソーラー館やまなし」や「静岡型水素タウン」プロジェクトなどで実証実験を重ね、2021年4月を目途に純水素燃料電池を製品化する計画。
さらに、東京2020大会の選手村跡地として開発される東京都晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業「HARUMI FLAG」にも、同社の純水素燃料電池や「エネファーム」の導入が予定されている。
パナソニックは、今後も家庭用燃料電池の知見と技術を生かしながら水素エネルギー活用の技術開発に取り組み、脱炭素社会の実現に貢献していくとしている。
[H2 Kusatsu Farmの基本仕様]
– 水素供給方式:オンサイト方式(*3)
– 充填圧力:35MPa
– 充填能力:29Nm3/日
– 設置面積:10m2(5 m×2m)
※1:水素タンクを空の状態からフル充填した場合。
※2:ドイツ、オーストリア、フランス、イギリス、ルクセンブルグ、ベルギー、オランダ(2019年11月18日時点)。
※3:水素ステーション内で水素を製造し、圧縮、蓄圧、充填する方式。