パナソニックグループは12月26日、インド当地に於けるラストマイル交通の運用をサポートするべく本格的なシステム開発&実証事業に着手すると発表した。
これは当地企業のETO Motors( ETO Motors Private Limited )とパナソニックによる実証事業化にあたり、当該プロジェクトの助成元であるNEDOからGOサインが出た事によるもの。
より具体的にはNEDOが今月、インド当地の行政元であるデリー準州政府交通局と、ラストワンマイル交通の利便性と輸送効率の向上を目的とした国際実証事業「エネルギー消費の効率化等に資する我が国技術の国際実証事業」で国際合意。協力合意書(LOI)を取り交わした事によりプロジェクトが動き出した。
今回、両社(パナソニックとETO Motors)が実証事業を行うインドは、人口約14億人・2021年の実質国内総生産( GDP )成長率が8.7%に上る巨大市場だが、近年の急激な経済成長に伴い、都市部での交通渋滞による大気汚染が深刻な社会問題となっている。
この大気汚染に係るインド当地の課題を解決するには、環境負荷の低いメトロ交通網の拡張・利用拡大が欠かせない。またこれに加えて公共交通の利用促進を大きく推し進めるために、メトロ交通網の最寄り駅からのラストワンマイル交通の整備も重要となる。
しかし当地に於けるラストマイル車両が、天然ガスで走るオートリキシャ(三輪車両)である事が、課題解決に向けての大きな妨げとなっている。
それは当該車の利便性や信頼性がとても低いためで、結果、環境負荷の低い筈のメトロ交通網を市民があえて使わず、自家用車やタクシー、ライドシェアサービス利用による直接移動が大半を占めてしまっているという。
こうした事からメトロ交通網が使われる頻度が下がるのみならず、交通のトラフィック網に流入する車両数自体が大きく膨らみ、これが深刻な渋滞や大気汚染を招く負のスパイラルになっている。
そこで今回、パナソニックとETO Motorsは、メトロ交通の最寄り駅を繋ぐラストマイル向けにEモビリティ(電動リキシャなど)のIT運用支援システムを導入。メトロ交通網の利用増による交通渋滞の改善に併せて、温室効果ガス( GHG )排出量の削減も目指す。
そのために実証事業で参画両社は、「オンデマンド運行管理」「配車アルゴリズム」「バッテリーマネジメントシステム」をモバイル通信を介してクラウド上に取り込み、オペレーター(車両運用事業者)へ、ドライバーへ、乗客へ向けた各々の3つのアプリを介して以下機能を提供する。
(1)オペレーター向け:車両管理・運用・バッテリー管理
(2)ドライバー向け:需給マッピング・バッテリー表示、キャッシュレス決済
(3)乗客向け:空き車両情報確認・乗車予約・キャッシュレス決済
上記の3アプリを通じて、乗客数の増加、運行効率の向上( 車両稼働時間増加、到着時間低減 )、運行コスト削減( 運用車両削減、バッテリー活用時間向上 )などのモニタリング検証を行う。
加えて検証結果を基に運用の最適化を行って運用内容を更に改善。この結果、ラストマイル交通に於ける乗客の利便性と輸送効率の向上を図って、収益増加と流入交通網の削減に貢献していく。
なお実証事業の実施体制は以下の通り
助成先:パナソニック ホールディングス株式会社
現地協力企業:ETO Motors Private Limited
実施場所:デリー・メトロ カルカジ・マンディール駅周辺地域