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2024年6月28日【MaaS】

パナソニック、インドのEV蓄電池交換サービス企業に出資

坂上 賢治

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パナソニックは6月28日、SBIインベストメントと共同運営するベンチャーキャピタルファンド( 通称:パナソニックくらしビジョナリーファンド )を通じて、インド国内で小型EVモビリティ向けのバッテリースワッピング( 充電済蓄電池の貸出・交換 )サービスを展開するアップグリッド ソリューションズ社( Upgrid Solutions Pvt. Ltd / サービスブランド:Battery Smart )への出資を決めた。

 

このパナソニックとSBIインベストメントによる投資ファンドは、2022年7月の設立以降、都合7社のスタートアップ企業へ出資してきたが、インド国内のスタートアップ企業への出資は今回が初。

 

目下インドのモビリティ市場は、2輪・3輪の小型EVが大半を占め、同マーケットとしては中国と並び世界最大規模に成長している。そうしたなかで、バッテリースワッピングサービスは、タクシー、フードデリバリー、ロジスティクス、フリート用として使われる小型EVをターゲットに、車両価格の2割~4割にもなるバッテリー自体をサービス化( 電気の入れ物としてバッテリーそのものを貸し出す )することで、庶民の車両購入時の初期費用を抑えることができる。

 

また本来は無駄なEVの充電待ちの時間を、稼働時間に置き換えられるビジネスモデルとして当地で期待されている。また旧来のガソリンエンジン車と比較した場合でも、バッテリーの交換サービスを利用する小型EVの運用コストは、むしろガソリンエンジン車を利用するよりも安価になるとされている。

 

※インドEV市場調査報告書( JETRO:2022年4月 )https://www.jetro.go.jp/world/reports/2022/02/8118fe569d9e9671.html

 

そもそもパナソニックは、平素より主力業務として配線器具や照明などの電気設備、またEV向けの充電設備をマンションや商業施設向けに展開しているため、今回出資するアップグリッド ソリューションズ社への働き掛けを介して、2輪など小型EVへの事業ノウハウを蓄積。新たなサービス創設の原資をしていきたい考えだ。

 

 

そこでパナソニックの郷原邦男CVC推進室 室長は、「当社は、1972年にインドで事業を開始し、現在は家電の他、太陽光パネルやEVチャージャー等のビジネスを行っています。この出資を通じて、小型EV向けバッテリースワッピングサービスで成長著しいBattery Smart( アップグリッド ソリューションズ社 )とビジネス連携の検討を進められることを嬉しく思います」と述べた。

 

対して出資を受けるアップグリッド ソリューションズ社( サービス名:Battery Smart )の共同創設者 兼務 最高経営責任者のプルキット クラーナー氏は、「パナソニックと提携して、電気自動車を誰もが利用しやすく手頃な価格にするという当社の使命を推進できることを嬉しく思います。

 

同社の投資は大きな前進であり、革新的な電気自動車ソリューションとしてのバッテリー交換に対する世界的な信頼の高まりを反映しています。パナソニックの持続可能な人間中心の技術に関する豊富な専門知識を活用して、当社の事業拡大を加速し、ソリューションを強化し、インド全土でのプレゼンスを強化していきたいと考えています」と応えている。

 

会社名:Upgrid Solutions Private Limited( ブランド名 Battery Smart )
代表者:Pulkit Khurana( プルキット クラーナー )
所在地:Pioneer Urban Square, Tower C, Sector-62, Gurugram, India – 122102
設立:2019年11月19日
事業内容:2輪3輪向けEV向け、バッテリー交換サービス
URL:https://www.batterysmart.in/

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

間宮 潔

1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

片山 雅美

日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

中島みなみ

(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

山田清志

経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

佃 義夫

1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。