東京ガスエンジニアリングソリューションズ(以下:TGES)、パナソニック、太田都市ガスは、群馬県邑楽郡大泉町にあるパナソニック 大泉拠点(※1)(以下:本事業所)において、大型の高効率ガスコージェネレーションシステム(以下:CGS)を用いた地産地消のエネルギーによる、環境にやさしく災害に強いシステムの運用を開始した。パナソニックが、12月11日発表した。
※1 本事業所は、ナチュラルチラーやガスヒートポンプエアコン、冷蔵・冷凍関連製品など、省エネ・省CO2に役立つ環境配慮型機器の国内最大級の製造拠点。
本事業所構内に、TGESがシステム設計から施工、燃料調達、設備のメンテナンスまで一括して担うエネルギーサービス方式でCGSを設置し、電力と蒸気を供給する。今回設置したCGSは、本事業所の年間消費電力の約6割を賄うとともに、発電時に発生する廃熱から製造した蒸気を空調や製造設備などのエネルギー源として活用することで、従来と比較して約17%(※2)のCO2削減を実現する。また、TGESのヘリオネットセンター(※3)から24時間365日遠隔監視を行い、安定稼働を図る。
※2 2018年度の実績値とシステム導入によるエネルギー消費量の試算値の比較。
※3 CGS等のエネルギーサービス機器の稼働状況の監視と、万一の不具合発生時の一次対応を行う拠点。
パナソニックは、CGSの廃熱から製造した蒸気を利用してノンフロン空調システム「ナチュラルチラー」(※4)を稼働させて事業所内の冷房空調を行う。加えて、季節変動に伴う空調負荷の増大に追従した電力系統の利用を抑えることが可能となり、電力系統への負担軽減を実現する。今後、さらなる環境負荷低減を目指して、周辺のエネルギー需要の取りまとめによる面的融通の推進や、他事業所への自己託送等によるエネルギーの高度利用にも取り組む予定としている。
※4 自然冷媒として用いる「水」が、蒸発、吸収、再生、凝縮という4つのサイクルを繰り返すことで冷房を行う、環境にもやさしい空調システム。1971年の発売以来、高効率化とコンパクト化を進め、公共空間や工場といった大空間を対象に、エコで快適な環境を提供し続けている。
なお、CGSを稼働する都市ガスは、太田都市ガスの災害に強い中圧ガス導管(※5)より供給されるため、自然災害などによる停電時においてもCGSをブラックアウトスタート(※6)させることで電気と熱の供給を継続し、本事業所のレジリエンス向上に貢献。
※5 東日本大震災クラスの大地震にも十分耐えられる構造で、基本的にガスの供給を停止することはない。太田都市ガスの中圧導管は、東京ガスの中圧導管2か所、INPEXの高圧導管1か所と接続し、多重化を図っている。
※6 停電状態で発電機を自立起動させ運転を再開する方式。災害に強い中圧ガス導管を活用することにより、系統電力が停電しても供給継続できる。
TGESとパナソニック、太田都市ガスは、環境にやさしく災害に強いエネルギーシステムでのサステナブルな事業活動を通じて、持続的な社会の発展に貢献していくとしている。
(左)今回導入したCGS(新設)
(右)CGSの廃熱で製造した蒸気を利用して冷房を行う ナチュラルチラー(既存)
(左)ナチュラルチラー製造工場では完成試運転 などにCGSの廃熱で製造した蒸気を利用
(右)竣工式のテープカットの様子
<主要設備概要>
【主要設備】CGS
【設備能力】7800kW
【発電効率】48.5%
【熱効率】蒸気15.6%、温水20.5%
【総合効率】84.6%
<システムフロー図>