車載用リチウムイオン電池材料で北米からの現地調達戦略を加速
パナソニックエナジー( PE / 本社:大阪府守口市、取締役社長:只信一生 )は2月15日、カナダの負極材メーカーNouveau Monde Graphite Inc.( NMG / 本社:ケベック州サンミシェルデサン、社長:エリック・デソルニエ )への出資を発表した。
この投資は、北米当地からの天然黒鉛の調達で、NMGと協議を進めていたなかに於いて、出資決定と共に7年間のオフテイク契約( 長期供給契約 )を締結したこによるもの。出資額は25百万米ドル。
また別途、三井物産( 本社:東京都千代田区、社長:堀健一 )も自社で保有していたNMGの転換社債に代えて25百万米ドルの株式を取得。その後、共同出資者と共に出資者間で合意した出資比率について、上限150百万米ドル相当の後続出資も検討しているという。
鉱山採掘から負極材加工までの一貫調達により、低環境負荷を実現
なおパナソニックエナジーでは、「当社は世界規模で拡大するEV需要に応えるべく、北米地域で車載電池の生産拡大を進めると共に、材料の現地調達比率の向上を含む持続可能なサプライチェーンの構築に取り組んでいます。
そうしたなかでNMGとは、先の2022年10月にオフテイク契約に係る覚書を締結していたことから、その後、北米エリアでの黒鉛一貫生産事業に向け、当社の製品仕様と品質基準を揃える最適化作業の進捗状況を勘案してオフテイク契約の締結に至りました。
そのNMGは、同社保有のケベック州のマタウィニー鉱山で採掘された黒鉛を精製し、同州ベカンクールにある電池材料工場で負極材を生産する〝鉱山から材料まで〟を一貫して担う負極材メーカーであり、北米での現地調達比率向上を目指す当社にとって理想的なパートナーです。
多様なパートナーシップを介して炭素中立現に向けた取り組みを加速
また、カナダでは電力の再生可能エネルギー由来比率が高く、同鉱山のあるケベック州では供給電力の 99%を再生可能エネルギーが占めています。
環境負荷の低いNMGの黒鉛材料を活用することは、北米での電池サプライチェーンの強靭化という意味だけでなく、2030年度にカーボンフットプリントを2021年度比で半減するという当社の目標に向けて重要な意味を持ちます。
日本とカナダの両政府は、 2023 年 9 月に蓄電池のサプライチェーンに関する協力覚書を締結しています。二国間の協力関係が強化される中、世界第2位の新車販売数を誇る米国を含む北米市場に於いて、EVの航続距離向上を実現する高品質かつ高容量な電池を生産・提供することで、当社は世界のEV普及に貢献します。
同時に、電池開発・製造の優れた技術と豊富な経験で、今後もリチウムイオン電池業界の成長を牽引するとともに、 多様なパートナーシップによりゼロエミッション実現に向けた取り組みを加速していきます」と話している。