パナソニックは、高湿な水素の流量と濃度が同時計測できる超音波式水素流量濃度計を、業界で初めて(※1)開発した。
世界各国で次世代エネルギーとしての水素利活用に向けた取り組みが活発化するなか、水素を化学反応させて発電する燃料電池においても、基幹部品であるスタックの研究・評価の重要性が増している。
燃料電池は、供給する水素全てを反応させることが困難なことから、その内部では、未反応の水素が化学反応で生成された水と熱により高温・高湿状態に。スタックの評価効率ならびに水素の利用率を高めるためには、この未反応水素を回収して循環利用することが有効となるが、従来の熱式流量計・濃度計は水分に弱いため、未反応水素の正確な計測が困難だったと云う。
そこで今回、パナソニックは、ガスメーターデバイスの開発で培ってきた超音波気体計測技術、および家庭用燃料電池の知見を生かし、湿度の高い水素の流量と濃度を同時に計測可能な技術を開発。この技術を搭載した超音波式水素流量濃度計を研究や評価に用いることで、水素エネルギー関連の開発促進が期待できるとしている。
[開発品の主な特長]
1. 高湿な水素の流量と濃度を同時に計測可能
ガスメーターデバイスの開発で培った超音波計測技術と流体制御技術の活用により、湿度の高い水素の流量と濃度の同時計測を実現。純水素型燃料電池やスタック単体評価におけるシステム構成を簡略化する。
2. 広範囲の流量・濃度計測が可能
純水素型燃料電池をはじめとする水素エネルギー関連の技術では、用途によって使用される水素の流量が大きく変化するが、開発品では、独自の信号処理技術により、0~700 NL/minの流量範囲が計測可能。使用条件に応じた計測機器の変更がいらず、より効率的な評価を実現する。
3. 大流量でも低い圧力損失を実現
計測原理に超音波式を採用することにより、低い圧力損失を実現。評価対象に流量減少などの影響を与えずに、流量・濃度の計測が可能。
[主な仕様]
<項目、仕様>
– 対象ガス:H2、N2、O2、Air
– 流量範囲:0~700 NL/min(H2:100%)
– 流量精度(※2):
±3.0% RD(H2:100%、流量:100~700 NL/min)
±3 L(H2:100%、流量:<100 NL/min)
– 濃度精度(※2):±2.0%(H2:100%)
– 動作湿度:0~100% RH
– 耐水性(※2):液滴流入でも計測可能
– 動作温度:0~70℃
– サイズ:300×177×96 mm
※1:2020年8月18日現在、パナソニック調べ。
※2:測定・設置条件により変化することがある。