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2024年10月24日【イベント】

大阪タクシー協会、大阪・関西万博に向けた取り組みを発表

坂上 賢治

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一般社団法人大阪タクシー協会(会長:坂本 栄二)は10月24日、2025 年日本国際博覧会(大阪・関西万博)に向けた今後の展望と輸送体制強化への取り組みを発表した。

 

それによると大阪地域のタクシー利用者へ、より一層、移動の快適さと利便性を提供するべく、多岐に亘る改善活動を推し進める。特に2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の開催に伴い、タクシー利用者の増加が予想されるなか、大阪のタクシー業界はタクシーの供給不足に対する懸念を解消させ、万博開催期間中の円滑な移動を実現するために、以下の取り組みを実施すると謳っている。

 

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現在のタクシーの状況について
大阪地域のタクシーは、減少していた乗務員数が令和5年度に約1000 名、その後も月に約100名規模で乗務員数が増加し続けているという。より具体的には、コロナ禍で減少した乗務員は、短時間労働者(高齢乗務員)で、その後、増加している乗務員はフルタイム乗務員であるとしていてる。従って現在、毎月稼働率が増加しており供給量は増加している。

 

加えて地域的な供給不足の発生調査について、大阪タクシーセンターと共に調査を実施しており、これまで特別な理由(例:天神祭りや淀川花火大会等)に於ける交通規制が行われた時、または豪雨等に於ける電車の運休が発生した時以外で、供給不足は発生していない。

 

それでも時間的に利用者に不便さを感じさせている可能性があると思われるケースでは、各事業者と協議を行い、勤務シフトの見直しを随時行っているとした。

 

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万博開催時の対応について
万博開催にあたって大阪タクシー協会は、大阪府・大阪市より示されているタクシー利用率等に疑義があるものの、タクシーの利用者が増加する予測は事業者にも好ましいものだと考えている。実際、タクシーの乗務員数や稼働車両数は現在も増加傾向が続いているため、今後も利用者が増えれば実車率も上昇する。

 

大阪タクシー協会による府内タクシーの調査・実績によると、2023年3月末時点での実車率は47.51%であったが、2024年3月末時点では約1%下げて46.53%となっている。従って一般的に供給不足とされる55%までにはまだ余裕がある。

 

これらを前提に大阪タクシー協会が、過去の輸送実績などを基に実車率を予測すると、府内のタクシー利用者が、万博開催期間中の1日あたり15万人増加したとしても、実車率は54%にも満たないとの分析結果が出ている。

 

従って今後の乗務員数や稼働車両数を鑑みても、利用者の増加分については十分対応可能と捉えている。しかし、それでも地域的・時間的に供給不足が発生すると予想される場合は「なにわモデル」を実施する予定を組んでいる。

 

これらによりタクシーを府内全域で営業区域外の運行を可能とすることと共に、現行の日本版ライドシェアも活用しながら、利用者に不便さを感じさせない対応をしていきたい。

 

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なにわモデルについて
なにわモデルとは、万博開催時のタクシー不足に備え、大阪府内に7つ存在する営業区域の区域外運行を可能とする仕組みを指すもの。

 

万博が開幕する2025年4月までに仕組みを整え、会期中にタクシー不足が予測される時期に実施し、タクシーを府内全域で運行できるような仕組みを整えていく。

 

また、なにわモデルの実現に向けては、今後、国土交通省と協議を進める。なお、それでも不足する場合は隣接府県のタクシー協会に要請し、応援を求めて行く構えという。

 

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円滑な道路交通について
交通白書によると、大阪の交通渋滞は年々増加している。これを踏まえて円滑なタクシー輸送を実現させるために単純な車両数増加施策はむしろ弊害となる。今後も適切な車両数を効率的に稼働させる必要がある考えている。

 

タクシーや日本版ライドシェアを府内全域で運行可能とすれば、渋滞するリスクが高まり経済活動にも影響する恐れがある。なにわモデルを実現するのは、渋滞を生まないよう、大阪タクシー協会やタクシー事業者などが、連携して管理し、効率的な輸送を目指す必要がある。

 

大阪タクシー協会は、「これらの取り組みを通じて、万博来場者ならびに地域住民の皆様に快適な移動手段を提供できるよう、引き続き体制の整備とサービスの向上に努めて参ります。今後とも変わらぬご愛顧賜りますよう、お願い申し上げます」と結んでいる。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

松下次男

1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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(中島南事務所/東京都文京区)1963年・愛知県生まれ。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者(月刊文藝春秋)を経て独立。規制改革や行政システムを視点とした社会問題を取材テーマとするジャーナリスト。

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経済誌「財界」で自動車、エネルギー、化学、紙パルプ産業の専任記者を皮切りに報道分野に進出。2000年からは産業界・官界・財界での豊富な人脈を基に経済ジャーナリストとして国内外の経済誌で執筆。近年はビジネス誌、オピニオン誌、経済団体誌、Web媒体等、多様な産業を股に掛けて活動中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

熊澤啓三

株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。