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2024年7月23日【IoT】

オンセミ、VWの次世代EVにパワーソリューション供給

坂上 賢治

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多彩なブランドへソリューション供給していく複数年契約を締結

 

オンセミ(Nasdaq:ON)は7月23日、フォルクスワーゲングループ(VWグループ)と複数年契約を締結。スケーラブル システム プラットフォーム (SSP)向けの次世代トラクションインバータの一部を構成する〝パワーボックスソリューション〟の主要サプライヤになることを明らかにした。

 

このソリューションは、統合モジュールにシリコンカーバイド(SiC)ベースの技術を搭載したもので、高電力から低電力のトラクションインバータまで、あらゆる電力レベルに対応が可能で、すべての車両カテゴリに適応できるものだという。

 

オンセミで社長兼CEOを務めるハッサーン・エルコーリー氏(Hassane El-Khoury)は、「我々は、パワー・サブアセンブリ全体をカバーする完全なパワーシステムソリューションを提供します。

 

EliteSiC Bare Die

 

これによってVWグループに対して、車両ラインアップの効率と性能を最大限に高める、単一の簡素化されたモジュール方式で拡張可能なプラットフォームを提供します。

 

この新しいアプローチは、コストを削減しながら性能を低下させることなく、各種車両向けに電源ニーズのカスタマイズや機能追加を可能にします」と説明した。

 

オンセミはフルスタックのシリコンカーバイド(SiC)技術を提供

 

当社によるとEliteSiC M3e MOSFETをベースにするオンセミ独自のパワーボックスソリューションは、小型パッケージでより大きな電力を扱うことができ、エネルギー損失を大幅に低減する。

 

また冷却チャネルに実装された3つの統合ハーフブリッジモジュールが搭載されており、半導体からクーラントケースまで効果的に熱管理を行うことで、更にシステム効率が向上するとした。

 

これらの効果により、車両単体の性能向上、熱管理の改善、効率の向上が実現。EVは1回の充電でより長く走行できるようになると述べている。その結果、この統合ソリューションを活用することで、VWグループは将来のEliteSiCベースのプラットフォームに容易に移行し、EVのイノベーションを長く牽引し続けることができるとした。

 

M3e Wafer

 

こうした効果と未来の可能性について、フォルクスワーゲンブランドで調達担当取締役を務め、エクステンデッドエグゼクティブコミッティに於いて「VWグループ調達」のメンバーでもあるディルク・グローセ=ロハイデ氏(Dirk Große-Loheide)は、「当社のSSPプラットフォームの最初のトランシェで、トラクションインバータのパワーボックスの戦略的サプライヤとしてオンセミを迎えることができ、大変嬉しく思います。

 

オンセミは、原材料の成長からパワーボックスの組み立てに至るまで、高度に垂直統合されたサプライチェーンで私たちを納得させてくれました」とオンセミを調達先に迎えた意義について畳み掛けた。

 

オンセミの欧州に於ける生産拡大計画はVWに大きなメリットをもたらす

 

更にVWグループ調達部門パワートレイン担当シニアバイスプレジデントのティル・フォン・ボートマー氏(Till von Bothmer)は、「オンセミは、垂直統合に加えて、アジア、欧州、米国の各地域でSiC工場を運用する柔軟な供給体制を敷いています。

 

そうした取り組みを背景に今後も、最先端のSiC世代を継続的に提供して貰えることから、その競争力を失うことはないでしょう。そうした意味でVWグループは、オンセミのチェコ共和国に於けるSiC製造の拡大に向けた投資計画からもメリットを得ることになります。

 

またそもそもこの投資は、欧州にトラクションインバータパワーシステム用のエンドツーエンド生産施設を開設するためのものです。オンセミの施設が近くにあることで、VWグループのサプライチェーンが、より強化されると同時に物流のフレキシブル性が向上し、今後起こりうる製造工程への新たなSiC供給でも、迅速な対応が可能になります」と語っていた。

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坂上 賢治

NEXT MOBILITY&MOTOR CARS編集長。日刊自動車新聞を振り出しに自動車産業全域での取材活動を開始。同社の出版局へ移籍して以降は、コンシューマー向け媒体(発行45万部)を筆頭に、日本国内初の自動車環境ビジネス媒体・アフターマーケット事業の専門誌など多様な読者を対象とした創刊誌を手掛けた。独立後は、ビジネス戦略学やマーケティング分野で教鞭を執りつつ、自動車専門誌や一般誌の他、Web媒体などを介したジャーナリスト活動が30年半ば。2015年より自動車情報媒体のMOTOR CARS編集長、2017年より自動車ビジネス誌×WebメディアのNEXT MOBILITY 編集長。

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1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。

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1975年日刊自動車新聞社入社。部品産業をはじめ、自動車販売など幅広く取材。また自動車リサイクル法成立時の電炉業界から解体現場までをルポ。その後、同社の広告営業、新聞販売、印刷部門を担当、2006年に中部支社長、2009年執行役員編集局長に就き、2013年から特別編集委員として輸送分野を担当。2018年春から独立、NEXT MOBILITY誌の編集顧問。

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日刊自動車新聞社で取材活動のスタートを切る。同紙記者を皮切りに社長室支社統括部長を経て、全石連発行の機関紙ぜんせきの取材記者としても活躍。自動車流通から交通インフラ、エネルギー分野に至る幅広い領域で実績を残す。2017年以降は、佃モビリティ総研を拠点に蓄積した取材人脈を糧に執筆活動を展開中。

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1970年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として自動車全分野を網羅して担当。2000年出版局長として「Mobi21」誌を創刊。取締役、常務、専務主筆・編集局長、代表取締役社長を歴任。2014年に独立し、佃モビリティ総研を開設。自動車関連著書に「トヨタの野望、日産の決断」(ダイヤモンド社)など。執筆活動に加え講演活動も。

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株式会社アーサメジャープロ エグゼクティブコンサルタント。PR/危機管理コミュニケーションコンサルタント、メディアトレーナー。自動車業界他の大手企業をクライアントに持つ。日産自動車、グローバルPR会社のフライシュマン・ヒラード・ジャパン、エデルマン・ジャパンを経て、2010年にアーサメジャープロを創業。東京大学理学部卒。

福田 俊之

1952年東京生まれ。産業専門紙記者、経済誌編集長を経て、99年に独立。自動車業界を中心に取材、執筆活動中。著書に「最強トヨタの自己改革」(角川書店)、共著に「トヨタ式仕事の教科書」(プレジデント社)、「スズキパワー現場のものづくり」(講談社ピーシー)など。