多彩なブランドへソリューション供給していく複数年契約を締結
オンセミ(Nasdaq:ON)は7月23日、フォルクスワーゲングループ(VWグループ)と複数年契約を締結。スケーラブル システム プラットフォーム (SSP)向けの次世代トラクションインバータの一部を構成する〝パワーボックスソリューション〟の主要サプライヤになることを明らかにした。
このソリューションは、統合モジュールにシリコンカーバイド(SiC)ベースの技術を搭載したもので、高電力から低電力のトラクションインバータまで、あらゆる電力レベルに対応が可能で、すべての車両カテゴリに適応できるものだという。
オンセミで社長兼CEOを務めるハッサーン・エルコーリー氏(Hassane El-Khoury)は、「我々は、パワー・サブアセンブリ全体をカバーする完全なパワーシステムソリューションを提供します。
EliteSiC Bare Die
これによってVWグループに対して、車両ラインアップの効率と性能を最大限に高める、単一の簡素化されたモジュール方式で拡張可能なプラットフォームを提供します。
この新しいアプローチは、コストを削減しながら性能を低下させることなく、各種車両向けに電源ニーズのカスタマイズや機能追加を可能にします」と説明した。
オンセミはフルスタックのシリコンカーバイド(SiC)技術を提供
当社によるとEliteSiC M3e MOSFETをベースにするオンセミ独自のパワーボックスソリューションは、小型パッケージでより大きな電力を扱うことができ、エネルギー損失を大幅に低減する。
また冷却チャネルに実装された3つの統合ハーフブリッジモジュールが搭載されており、半導体からクーラントケースまで効果的に熱管理を行うことで、更にシステム効率が向上するとした。
これらの効果により、車両単体の性能向上、熱管理の改善、効率の向上が実現。EVは1回の充電でより長く走行できるようになると述べている。その結果、この統合ソリューションを活用することで、VWグループは将来のEliteSiCベースのプラットフォームに容易に移行し、EVのイノベーションを長く牽引し続けることができるとした。
M3e Wafer
こうした効果と未来の可能性について、フォルクスワーゲンブランドで調達担当取締役を務め、エクステンデッドエグゼクティブコミッティに於いて「VWグループ調達」のメンバーでもあるディルク・グローセ=ロハイデ氏(Dirk Große-Loheide)は、「当社のSSPプラットフォームの最初のトランシェで、トラクションインバータのパワーボックスの戦略的サプライヤとしてオンセミを迎えることができ、大変嬉しく思います。
オンセミは、原材料の成長からパワーボックスの組み立てに至るまで、高度に垂直統合されたサプライチェーンで私たちを納得させてくれました」とオンセミを調達先に迎えた意義について畳み掛けた。
オンセミの欧州に於ける生産拡大計画はVWに大きなメリットをもたらす
更にVWグループ調達部門パワートレイン担当シニアバイスプレジデントのティル・フォン・ボートマー氏(Till von Bothmer)は、「オンセミは、垂直統合に加えて、アジア、欧州、米国の各地域でSiC工場を運用する柔軟な供給体制を敷いています。
そうした取り組みを背景に今後も、最先端のSiC世代を継続的に提供して貰えることから、その競争力を失うことはないでしょう。そうした意味でVWグループは、オンセミのチェコ共和国に於けるSiC製造の拡大に向けた投資計画からもメリットを得ることになります。
またそもそもこの投資は、欧州にトラクションインバータパワーシステム用のエンドツーエンド生産施設を開設するためのものです。オンセミの施設が近くにあることで、VWグループのサプライチェーンが、より強化されると同時に物流のフレキシブル性が向上し、今後起こりうる製造工程への新たなSiC供給でも、迅速な対応が可能になります」と語っていた。