沖電気工業(OKI)は3月27日、物流分野におけるルート配送の配送計画を、AIによって最適化する配送計画最適化サービス「LocoMoses(ロコモーゼ)」を、同日より販売すると発表した。
ロコモーゼは、OKIが開発した「コスト最小型ルート配送最適化AI(※1)」を用いて最適な積載量やルートを短時間で自動的に立案できるSaaS型のサービス。これまで熟練社員に属人化していた配送計画作業の負担解消に加え、「分割配送(※2)」の手法を取り入れた高効率なルート配送の実現で、配送経費の削減やCO2排出量の削減に貢献すると云う。
なおサービスは、当初、共創パートナーのロンコ・ジャパン が販売する配車システム「ラーク」に組み込まれた形で提供される(5月1日より)。OKIは、2027年度までに売上2億円を目指すとしている。
近年、2024年問題(注3)等の様々な課題を抱える物流業界ではあるが、中でも、配送計画の立案業務が一部の経験ある熟練社員に依存・属人化していることが大きな問題の1つに。また、燃料費の高騰やドライバー不足やCO2排出量抑制など、より効率の高い配送計画の立案が求められていると云う。
OKIでは、それら課題への対応のため、ロンコ・ジャパンとの共創を2020年より開始し、熟練社員の技能を取り入れつつ、配送にかかるコストを最小化する「コスト最小型ルート配送最適化AI」を開発。その後、ロンコ・ジャパンの配送現場で実運用環境下での実験を繰り返し行うなど、OKIのイノベーションマネジメントシステム「Yume Pro 」に基づいて商品化のプロセスを推進。
今回商品化されたロコモーゼは、AI技術に熟練社員の現場での経験を取り入れることで、誰でも最適な配送計画を作成することが可能。さらに、AI技術により積載率を高め効率的な配送を実現する「分割配送」や、高速道路利用の判断ルールの設定と指示、渋滞や通行規制といった配送リスクが高いルートへの配慮などもできると云う。
<LocoMosesの特徴>
・効率的な配送手法である「分割配送」を取り入れた配送計画の立案が可能。
・利用者ごとに高速道路利用のルール設定が可能。
・道路封鎖などの配送リスクの恐れが高いルートを予め除外することが可能。
■販売計画
– 提供価格:個別見積もり
– 販売開始:2023年5月1日
– 販売目標:2億円(~2027年度)
OKIは引き続き、物流業界の様々な課題を捉えてロコモーゼを改良すると共に、輸配送の最適化を通して物流業界の人手不足やカーボンニュートラルといった課題解決にも貢献していきたいとしている。
※1)コスト最小型ルート配送最適化AI:高効率な配送形態である「分割配送」を元に構築したOKI独自のAI手法。
※2)分割配送:1つの配送先に対して複数回の納品を行う配送方式。
※3)2024年問題:2024年4月1日から施行される働き方改革関連法に伴い、ドライバーの時間外労働の上限規制強化により、一人あたりの走行距離が短くなり、長距離運搬などに影響が起こりうる問題。