TOYOTA GAZOO Racingは1月25日、24日に開催された2021年FIA世界ラリー選手権(WRC)第1戦ラリー・モンテカルロの最終日デイ4で、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(ヤリスWRC 1号車)が優勝。エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)は総合2位で、カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(69号車)は総合4位でフィニッシュしたことを発表した。
ラリー・モンテカルロのデイ4は、モナコのパルクフェルメを基点に、フランス山中で2本のステージを各2回、合計54.48km走行。
ラリー最終日はサービスの設定がなく、タイヤに関しても早朝ステージに向かう時に装着、搭載していたタイヤ以外は使用できない。そのため、最終ステージにかけて路面コンディションがどのように変わっていくのかを、モナコを出発するまでに見極める必要があった。
1号車(セバスチャン・オジエ、ジュリアン・イングラシア)
デイ3が終了した時点で首位はオジエ、13秒差でエバンスが総合2位、56.8秒差でロバンペラが総合3位と、ヤリスWRCがトップ3を占めていた。
そして、デイ4オープニングステージのSS12ではオジエがベストタイムを記録し、エバンスとの差を21秒に拡げた。続くSS13ではエバンスが2番手タイム、オジエが3番手タイムで差は19.7秒に縮まったが、SS14でオジエはベストタイムを刻み差を28.1秒に拡大。
そして、ボーナスの選手権ポイントがかかる最終の「パワーステージ」で、オジエは今大会8回目のベストタイムを刻み優勝。2年ぶり、通算8回目(2009年のIRC開催大会も含む)となるラリー・モンテカルロ優勝を飾り、WRC通算50勝を達成した。
33号車(エルフィン・エバンス、スコット・マーティン)
69号車(カッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン)
トヨタは、過去ラリー・モンテカルロで3回優勝していた。そして、TOYOTA GAZOO Racing World Rally TeamとしてWRCに復帰した2017年はヤリ-マティ・ラトバラが総合2位に入り、以降毎年表彰台を獲得してきたが、今回ついにヤリスWRCがウイニングマシンとなった。トヨタにとっては、1991年に初めてラリー・モンテカルロを制してから30年目となる記念すべき大会での、4回目の優勝となった。
オジエと最後まで勝利を争ったエバンスは、昨年の総合3位を上回る総合2位を獲得し、パワーステージでは3番手タイムを記録。表彰台争いをしていたロバンペラは、SS12でタイヤにダメージを受けて遅れをとるも、パワーステージではオジエに次ぐセカンドベストタイムを記録して、総合4位でフィニッシュした。
今シーズンよりパワーステージのポイント規則が変わり、選手に対してだけでなく、マニュファクチャラーに対してもボーナスの選手権ポイントが与えられることになった。チームは1-2フィニッシュに加え、パワーステージでもトップ3を占めて最大得点を獲得したことにより、マニュファクチャラー選手権でトップに立った。チームにとっては申し分ない開幕戦となり、トミ・マキネンに替わり今季からチーム代表に就任したラトバラにとっても、最高の初戦となった。
TOYOTA GAZOO Racing WRCチャレンジプログラムにより、ヤリスWRCで出場の勝田貴元は、デイ3で総合6位へと順位を上げ、最終日はスピンを喫してタイムを失うもトリッキーなステージを全て完走。昨年大会の総合7位を上回る、WRC自己最高位の総合6位で今シーズン最初のラリーを戦い終えた。
■ラリー・モンテカルロ デイ4の結果
1 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア (トヨタ ヤリス WRC) 2h56m33.7s
2 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (トヨタ ヤリス WRC) +32.6s
3 ティエリー・ヌービル/マーティン・ヴィーデガ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +1m13.5s
4 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (トヨタ ヤリス WRC) +2m33.6s
5 ダニ・ソルド/カルロス・デル・バリオ (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +3m14.2s
6 勝田 貴元/ダニエル・バリット (トヨタ ヤリス WRC) +7m01.3s
7 アンドレアス・ミケルセン/オーラ・フローネ (シュコダ ファビア Rally2 Evo) +7m23.6s
8 ガス・グリーンスミス/エリオット・エドモンドソン (フォード フィエスタ WRC) +8m21.1s
9 アドリアン・フォルモ−/ルノウ・ジャムール (フォード フィエスタ Rally2) +9m15.8s
10 エリック・カミリ/フランソワ-クサビエ・ブレジ (シトロエン C3 Rally2) +10m41.0s
(現地時間1月24日15時00分時点のリザルト。最新リザルトはwww.wrc.com。)
■次回のイベント情報
WRC次戦は、2月26日から28日にかけて開催されるWRC第2戦「アークティック・ラリー・フィンランド」。本来第2戦はラリー・スウェーデンとなる予定であったが、新型コロナウイルスの影響により中止となり、その代替イベントとして、同じくスノーラリーのアークティック・ラリー・フィンランドが初めてWRCのカレンダーに組み込まれた。このラリーはアークティック=北極圏という名の通り、フィンランド最北端の地域が舞台となり、ロバニエミを中心に開催される予定。例年、1月から2月にかけては豊富な積雪があり、路面は雪と氷に覆われ、理想的なウインターコンディションが期待されている。