NTTドコモは4月12日、移動関連データを蓄積・共有・活用可能な「MaaSデータプラットフォーム」(以下「プラットフォーム」)を開発し、2021年3月15日(月)から3月17日(水)まで沖縄県那覇市および豊見城市で実施した実証実験にて、その有用性を確認したと発表した。
このプラットフォームは、沖縄ICカード、一般社団法人沖縄しまたて協会(以下「沖縄しまたて協会」)、モバイルクリエイト、ノット、NTTドコモ(以下「ドコモ」)、NTTテクノクロス、アドビ、エクスチュア、日本システム技術、大和情報サービスの10社が、沖縄の交通系ICカード「OKICA®」を活用し、あらゆる公共交通機関を一つにまとめて提供する沖縄版MaaS(以下「OKICA♥MaaS」)の実現に向け開発したもの。
沖縄県では、地域住民のマイカーや観光客のレンタカーが主な移動手段となり、バスをはじめとする公共交通機関の利用率が低く、慢性的な交通渋滞が発生している。地方公共団体や交通事業者が公共交通の利便性を向上させるための交通施策を検討する際には、5年ごとに実施する国勢調査などの各種統計調査データを使用しており、実際の交通実態と合わないという課題がある。
また、交通サービスの利用を通して蓄積されたビッグデータは、その所有権が民間事業者に帰属するため、データの活用に際し、個人情報の取り扱いなどの課題も生じている。
これらの課題に対し、今回実施した「OKICA♥MaaS」の実証実験では、交通サービスを通して得られる乗降時間、乗降場所などの移動関連データを、ブロックチェーン技術を活用し、移動ごとに異なるIDとして匿名化した。利用者の行動範囲や傾向の特定が困難な匿名化されたIDをリアルタイムビッグデータとしてプラットフォームに蓄積し、プロジェクトに参画した地方公共団体や事業者に共有するとともに、地域活性化施策へ活用できることを確認した。
さらに、ブロックチェーンのスマートコントラクト機能により、個人情報を使用しなくても複数サービスの利用状況を把握し、利用に応じたクーポンを発行するなど、利用促進施策への活用も見出すことができた。
このプラットフォームは、移動関連データのリアルタイム共有に加え、利用状況に応じた柔軟なインセンティブの発行が可能となるため、利用データに基づく地域活性化施策の立案や、人の移動に応じた効果的な利用促進施策の実現に向けた活用などが期待される。
各社は今後、実証実験を踏まえ、協働して「OKICA♥MaaS」の社会実装に向けた取り組みを推進し、より便利で快適な沖縄での移動をサポートするとともに、持続可能な交通インフラの実現や地域の社会課題解決をめざすとしている。